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【魔法少女レムリア短編集】マジック・マジック-2-

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★★
 
 つないだ手を持ち上げ、周囲に見せる二人。
「何か違和感ないですか?」
「え?」
 言われて、アベックはまさかとばかりに目を見開き、次いで互いの顔を見合わせ、つないだ手をゆっくりほどく。
 すると。
「おお!」
 出てきたのは1ペニー。
「それを先ほどの男性にお見せください。お兄さん。そのコインに間違いありませんか?」
 円めがねの男性が渡されたコインを観察する。
「……おお。おお、傷の具合といい、間違いない。僕のだ」
 男性が1ペニーを掲げて周囲に見せる。
 一方、白髪の女性は自分の両手を広げ、目を白黒。
「ブラボー!」
 アベックの男性が顔を紅潮させて言い、シルクハットを投げ戻す。
 彼女はそれを受け取って。
「以上昼下がりのイリュージョンでした」
 一礼。すると人だかりから拍手と歓声が上がり、シルクハットめがけておひねりが続々。
「ありがとうございます。ありがとうございます」
 彼女は何度もお辞儀をしながら、飛んでくるコインや丸めたお札を受け取る。
「すごいわ。あなた本当にすごいわ。私の義理の孫にならない?」
 言葉はゆっくりながら、興奮を抑えきれない様子なのは白髪の奥様。
「これをあげる。いいえいいの、夫が死んで10年になるけどこんなに楽しい日曜日は初めてだわ。ありがとう、ありがとう」
 女性が出したのは何と100ユーロ(2011年春のレートで約1万2000円)の紙幣。
「え……」
 これはちょっともらいすぎ……彼女は思う。小遣い稼ぎが目的でマジックをやったのは確かだが、こうなるとだましているみたいで良心が咎める。
 でも、女性が素直に楽しんでくれて……。
「あ……じゃあ、いただきます。ありがとうございます」
 彼女は両手でお札を受け取り、帽子に納めた。
「じゃあ、本当にありがとう」
 にこやかに去ってゆく女性に彼女は手を振る。そして人だかりが去った後、転がっているコインやお札を拾って帽子に入れる。
 
(つづく)

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