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【魔法少女レムリア短編集】マジック・マジック-3-

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★★★
 
 雑多な種類のお金。その中でひときわ目立つ100ユーロ札。
 もうやめるべきかな……小さくため息を付きながら彼女は思う。家からはそういうことをしてはならないと言われてはいる。しかし、書いた罪悪感の一方、仕送りだけではお小遣いが足らないのもまた確か。
 トランプを帽子にしまう。次いで、
「ありがとね」
 と鳩にクルトンをあげ、飛び立たせる。
 そして、イスを畳んで持ち上げた、その時。
「これしか。ない」
 目の前に差し出された50セント(0.5ユーロ)のコインと、たどたどしい発音の男の子の声。
「ん?」
 彼女は顔を上げる。破れて汚れた日本のアニメキャラクターのTシャツ。でも瞳だけは南の海のように青く澄んだ男の子。
Magicmagic3
 年齢は自分より随分下だろうか。顔立ちのわりに背が高いのでピンと来ない。
「なに?」
 彼女は小首を傾げて尋ねる。すると、
「僕、兄弟、たくさん。君、手品……」
 一生懸命。彼女はたまらず。
「どこの出身?おうちは?」
 チューインガムを差し出しながら尋ねる。男の子はガムを受け取ると、半分だけちぎって口に入れた。
「シチム……」
 小さな声で男の子が言う。
 彼女はそれを聞いて目を見開いた。
 シチム……聞いたことがある。以前のユーゴスラビア、コソボ自治州の村だ。独立を巡ってひどい戦乱があった。アルバニア系難民の男の子か。
「(逃げてきたの?)」
 スラブ語で彼女は尋ねた。
 今度は男の子が目を見開く。
「(君……?)」
「(少しなら言葉判るよ。それで?)」
 やはり内戦がらみであった。男の子は両親を失い、自分の妹、及び、同じ境遇の仲間達と共に、慈善団体の手によってこの町の孤児院に預けられたと語った。
「(それで……みんな怖がって施設に誰も近づけようとしないし外へも行かないんだ。大丈夫だって言ってるのに。でも君なら)」
 
(つづく)

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