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【魔法少女レムリア短編集】マジック・マジック-5-

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「あらあらダリ。そうだったの」
 シスターがからかう。
「違うって!。この娘、手品、上手、見せたい」
 必死に弁明するダリ少年の背後で、レムリアはウィンクして見せた。
 シスターは彼女の手品を知っている。
「……とにかく入って下さいな。ダリはみんなを集めて。食堂に場所作らないとね」
 シスターに招かれてレムリアは中に入る。その間にダリ少年が子供達に声を掛け、集まった子達に指示を出し“ステージ”づくりがあわただしく始まる。
「ウサギならいるわよ」
 折り畳みイスを下ろしたレムリアに、シスターが言った。
 レムリアが振り返ると、シスターの腕に白ウサギが一羽。
 レムリアはしゃがみ込む。そしてウサギの赤い瞳をじっと見つめる。
 見返すウサギ。その視線はまるで知性ある生き物のよう。
「おいで」
 数秒の後、レムリアは両手をウサギに差し出す。ウサギがシスターの手を離れ、レムリアの胸元にしがみつく。
「ありがとう。ちょっと手伝ってね」
 レムリアはウサギに微笑みかける。不思議そうに首を傾げるシスターベレロワ。
「相変わらずね。いつか狂犬からテントを救ってくれたのを思い出すわ」
「その場しのぎに過ぎないんですけどね」
 レムリアはウサギをなでながら小さく呟いた。
「そうね。でも人間の病気の根絶すらまだまだですもんね。動物の病気は二の次三の次」
 食堂の中から声があり、ドアから顔を出すダリ少年。
「できた。みんな待ってる」
「判った」
 レムリアは言うと、ウサギを肩に乗せ、イスを持って食堂へ入った。
 自分を見つめるたくさんの小さな、しかし澄んだ瞳。
「みなさんこんにちは。今日はみんなにマジックを見てもらおうかなと思って来ました。レムリアといいます。よろしく」
 シルクハットを手に持って深々とお辞儀をする。
 同時にウサギも一礼。子供達から歓声。
 マジックショーを開演する。トランプのカード当て。頭にウサギを載せてシルクハットをかぶるとウサギがいなくなる。切ったはずなのにちゃんとつながっている紐。びりびりに破いたはずなのに丸めて広げると元通りになっている新聞紙。
 
(つづく)

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