【魔法少女レムリア短編集】マジック・マジック-8・完結-
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★★★★★★★★
〝だましているみたいで良心が咎める。〟……その最大の理由。
「悪いけど……」
レムリアはゆっくりダリに目を戻した。そして、彼の手のひらのお金を、そのまま彼に握らせた。
「……だめ?」
「そうじゃなくて」
レムリアはコインを握った彼の手を、指先でつんつん突ついた。
「マジックじゃないんだ」
次いで、彼のズボンのポケットを指さす。
指さされたポケットに彼が手を入れる。
50セント。
他方、握ったはずの手のひらにコインはない。
「うわ!」
レムリアを見つめる、彼の仰天した目。
「マジック、なんだ」
レムリアは指をパチンと鳴らす。鳩とウサギがシルクハットから相次いで出てくる。
そして鳩は羽ばたいて、ウサギは一回ぴょんと跳ねて、それぞれ彼の両肩へ。
「……どういうこと?マジックじゃなくてマジックって」
混乱に泳ぐ目でダリがレムリアを見る。
「トリックという意味のマジックじゃなくて……」
レムリアは今度はシルクハットからひまわりの種を取りだし、握った。
「ソーサリーという意味のマジック」
言って手を開く。種は小型の花に変わった。
ダリが黄色いひまわりを手にし、まばたきも忘れて暫く花と茎を見つめる。
「ソーサリー……魔法……」
レムリアは頷いた。そして、ダリの右手を、両手で挟むように握った。
「……」
呪文を唱える。それは現代の誰が聞いても判らない、遠い遠い過去の言葉。なお、文字にしても作用するということなので、ここに記述することは控える。
「う!」
ダリの身体が感電したように一瞬震えた。
「子供達に夢と希望を……少し身体がだるくなる。力が戻ったら、月の光の中で、試してみて。じゃあね」
レムリアは言って立ち上がる。ダリが何事かと問うような目で、握られていた右手を覗き込む。
そして、歩き出したレムリアを呼び止めようとしたが、言葉は声にならず、身体は腰が抜けたようになってその場にへたり込んでしまう。
レムリアは立ち止まらずそのまま去った。……月よ、今宵我が友に奇蹟を。
……市内ニュースのサイトによると、孤児院の庭に、花の大きさが1メートルもあるひまわりが突然咲いたという。
マジック・マジック/終
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