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【魔法少女レムリア短編集】夏の海、少女(但し魔法使い)と。【8】

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 相原はマキロンで消毒し、絆創膏をぺたり。
「自分が処置されるなんて変な気持ち」
「痛くないか?」
「うん、大丈夫。ありがと」
 レムリアは言い、笑顔を見せ、砂浜の楽しい人々を瞳に映す。その表情、羨ましいような寂しいような。
 何か心に引っかかるものがあるのだ、相原はそこまでは判断した。海へ来たけど泳ぐでなく、服は着ているが大胆な方。
 そして、ビキニの少女達への目線。
「さっきのセリフって、出任せ?」
「あん?」
「周りがさ」
 レムリアはぼそっと言った。
 相原は続きを催促せず、彼女に目を向けるだけ。
「場所が場所でしょ。皆さん発達がおよろしいわけよ」
 冒頭触れたように、彼女は普段欧州にいる。当然、回りは欧州系の人種が多く、一般に彼らは女性でも大柄で、大人びてくるのも早い。
 ああ。相原は全部、合点が行った。
 でも、まだ何も言わない。
「日本はどうかと思ったけど……すごいね」
 レムリアはうつむいた。
 相原はレムリアの背後に回る。
「個人差の講釈は不要……だわな」
「わかってる。わかってるけど、回りがどんどん変わると、どうしても、さ」
「立派な思春期じゃん」
 レムリアは振り返り、相原を見上げる。
 瞳に輝きを浮かべて。
「オレがそーゆー女の子ばかりに鼻の下伸ばしていたように見えたか?」
「それは……ない、と思うけど」
 再びうつむく。
 
(つづく)

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