【魔法少女レムリア短編集】夏の海、少女(但し魔法使い)と。【4】
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「……少々、お待ち下さい」
ウェイトレス娘は困惑の表情でカウンターに向かい、中にいた店長とおぼしき白髪交じりの男性にボソボソ。
店長は速攻、とばかり、下唇を噛んでカウンターから出てきた。
「お客さん。そういうのは困るんですがね」
するとレムリア、
「だめ……ですか?」
紅茶を飲むストローから口を離し、小さく首を傾げて、目をぱちくり。
店長の目が一瞬見開かれたのを相原は見た。
「こちら……お連れさんで?」
店長は相原に尋ねた。
「はあ」
「夕食もご一緒に?」
「当然」
「何時頃、の予定ですか?」
「日が暮れる頃……今日は18時50分日の入りか……6時半くらいかな?」
「彼女さん窓際に座って頂けるんでしたら、よろしゅうございます」
店長は迷惑そうな表情一変、ニッコリ言った。
それを聞いた傍らのウェイトレスが口をあんぐり。やや非難の色を帯びた目で相原とレムリアを見、横目を店長に向ける。でもケーキと伝票はちゃんとテーブルに置いて行く。
「判りました。じゃぁ6時半で。……キー預けた方がいいですか?」
相原はテーブルの上のキーをつまみ上げてブラブラ。“食わず逃げ”しない証明としてクルマのキーを置いていっても良い、という意思表示。
「あ、結構ですよ。このお会計もその時で」
「あそ」
店長はウェイトレスが置いていった伝票を手に、揚々と?カウンターに引き上げていった。
レムリアと相原は思わず顔を見合わせた。何が店長の気を変えたのか。
「お前さん何かしたか?」
相原はレムリアに訊いた。
「いんや?あ、でもひょっとするとアレかな?このワタクシめの女の武器でノックアウト」
(つづく)
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