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【魔法少女レムリア短編集】夏の海、少女(但し魔法使い)と。【10】

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 笑顔の店長氏に迎えられ、約束通り窓際の席へ。ところがここでも、歩く自分らに周囲の客から目線が集まる。
 これは、“ような気がする”だけの思い過ごしか。それとも。
 二人がテーブルに着くと「予約席」のプレートがどかされる。
 ディナータイムはコース料理のみとかで、レムリアが海鮮料理、相原はマグロと牛ステーキのセット。
 オーダーを受けたウェイトレスが下がる。
「ねぇ」
 レムリアは相原を呼んだ。
「んぁ?」
 そのまま二人見つめ合う。傍目には本当に見つめ合っているだけである。
 しかし実際にはコミュニケーションが取られている。
 会話形で書いてみる。
〈見られてる気がする〉
〈気がする、じゃないと思う。みんな君を見てる。通りすがりの美少女に送る視線じゃない。明らかに君が何者であるか知った上での行動だと思う〉
〈バレバレってことかな?〉
〈可能性があるとしたら店長でしょ。お前さん見て、いやにあっさりOKした〉
〈えー、でも何で?……まぁ、いいけど〉
 以上の会話を二人は意志だけで行っている。超常感覚的知覚の一つ、テレパシー。
 この特異能力はレムリアが持っている。
「お待たせしました」
 料理が運ばれて会話も中断。スープにサラダ、前菜が付いてメインディッシュ。
 レムリアは視線に知らん顔で食を進めた。こういう事態にある程度慣れているということもあろう。
 食後のデザートとコーヒーが運ばれる。料理は充分に美味しかった。
 しかし、入れ替わる客の目線は相変わらず。
 本当に彼女の素性がバレたのだろうか。でも、後は勘定だけであり、最早どうでもいい。
「ちょっと待てな」
 相原は携帯電話を取り出していじる。店のウェブサイトにクーポンが貼ってあって、画面を見せるとちょっと割引……良くあるパターン。
 
(つづく)

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