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【魔法少女レムリア短編集】夏の海、少女(但し魔法使い)と。【12】

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「いらっしゃ……」
「すいません、こちらに心臓マッサージの出来……」
「はい私看護師です」
 店員の声を遮り、青い顔した女性が問いかけ、
 その声が終わらぬうちに、レムリアが手を上げた。
「オレも行くか?」
「いやいい。会計してて」
 レムリアはウェストポーチを装着しながら女性の元へ。
「だったら後ろにAED入ってるから持ってけ」
 相原は言い、思わず振り返ったレムリアにクルマのキーを投げた。
 衆目の見守る中、宙を飛ぶ鍵束。
「買ったの?」
 キーをじゃりんと受け取りながら、レムリアが目を剥く。AED……すなわち自動体外式除細動装置。心臓電気ショック装置と書けば判りよいか。最近家電量販店で扱いが始まり、合わせて相原が購入したもの。
 ……生命に関わる装置であり、新入社員がひょいひょい買える金額ではない。ゆえにレムリアは目を剥いたのだ。
「まぁね。いいから行け!」
「あ、うん!……救急車は……呼んだんですね」
 レムリアは答え、状況を訊きながら、女性を追って走り出す。
 まるでドラマのような出来事にしばし客らはざわついていたが、残ったのが相原一人とあってか、めいめいそれこそドラマでも見終わったように、テーブルの食事に戻った。
 相原は落胆の雰囲気を背に、遠ざかる足音を確認すると、サイフを探りながらレジへ向かった。
 店長が応対。
「あの……お連れさんですが」
 囁くように相原に問う。
「はい?」
「姫様……ですよね。博覧会の講演に来て、ホテルでいなくなって行方不明か?って騒がれた。ボランティア団体で看護師やってる」
「……見た通りですよ」
 
(次回・最終回)

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