アルゴ・ムーンライト・プロジェクト第2部-009-
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相原は目を見開いて訊き返し、はんてんを翻してレムリアを見た。その反応に、「それをまず言え」とアリスタルコスが突っ込む。
「あの……」
レムリアとしては気が引けたのは確かである。船長アルフォンススは自称、傭兵であり、都合がつかない場合はアルゴプロジェクトへの参加を見合わせることもある。その場合は副長が代行するか、活動自体をスキップするのであるが。
「今回は船長が必須でしょうと。この船と私たちの全容、船長の考え方を知る人が必要でしょうと副長が。それで」
物語に書けるレベルまで内容を把握している相原を招聘することにした、と。
「副長さんもサイキックだったな確か」
相原は腕組みして問うた。psychic……超能力者一般を指す語。
「ええ、はい。予知を受けたのではないかと。私自身は何も感じないから、確固たる事は言えないんだけど」
「それを早く言えよ」
相原は言い、ニヤッと笑って上あごの八重歯を見せた。
すなわち、あっさり了解。
レムリアは目を丸くした。……そんなもの?
「ホラ見ろ。だから回りくどい説明するなって言っただろ?女の子だな、もう」
アリスタルコスが言い、アメリカコミックのヒーローのようにわざとらしい仕草でため息をついた。
「じゃあ、一緒に、来て……」
レムリアは思わず相原を見つめてしまう。傷の原因になった張本人の頼みを聞いてくれるというのか。
「当たり前じゃんか。ってか、断ったどうするつもりだったんだ?何か代案あったのか?」
「ありがとう!」
レムリアは思わず大きな声で言い、両の手をパチンと叩いた。
それは嬉しい時に彼女が見せる仕草。
月明かりに突然開いた笑顔の花。
光を含んでキラキラ輝く黒い瞳は、夜にあって尚目を引く喜びの大輪。
(つづく)
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