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【魔法少女レムリア短編集】東京魔法少女-19-

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「夢想癖ではありません。真美子ちゃんから聞きました。お母様に元気になってもらうために魔法使いになるんだと」
「そうだよ。お姉ちゃんに教えてもらうんだ。お姉ちゃんすごいんだよ、ハリーの行き先当てたし、ハリーとおしゃべりできるし、このラーメンだって……」
 信じようとしないお母さんに業を煮やしたか、真美子ちゃんはちゃぶ台を立って枕元にやってきた。
 レムリアに向けられたお母さんの目の色が変わってきた。
「そういえばお湯をどうやって……」
「魔法が働いたのだとしたら、お母さんを助けたいという、真美子ちゃんの一生懸命な気持ちのなせる技でしょう。まみちゃんこっち来て」
 レムリアは真美子ちゃんを傍らに座らせ、お母さんの腕を彼女の手のひらに載せた。
「約束だから魔法を一つ。お母さんが元気になる魔法」
「……うん!」
 真美子ちゃんは笑顔と共に頷いた。
「今夜は、まみちゃんが楽しかったな、と思ったことをお母さんにお話ししながら、一緒に寝てあげて」
「それだけでいいの?」
「うん、そのかわり」
「(月の女神に願いを申す。我が友と、友の母とに血潮の巡りを。継ぎたる海に命の力を)。母は海なり。海は母なり」
 唱えて指先を唇にタッチ、その指を真美子ちゃんの額にタッチ。最後の二つのフレーズは日本語である。
「わ~い。魔法だ」
 真美子ちゃんは喜んでお母さんの首に腕をからめた。
「あなたは一体……」
「通りすがりに真美子ちゃんを送って行ってと頼まれただけです」
 レムリアは言った。お母さんの意識に、自分に対し“不思議な女の子”という認識が生まれようとしている。魔法とは思っていないにせよ、何か特殊な能力の持ち主なのではないか、という確信が生まれつつある。
 だが、ここで必要なのは自分自身でなんとかしようとすること。実際、自分の能力……月の精霊の仕事……は、その人の潜在能力をパワーアップするだけにすぎない(その点、“素質”の無い人には効かない。彼女の力の半人前のゆえんである)。
「お母様」
 
(つづく)

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