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【魔法少女レムリア短編集】東京魔法少女-21・終-

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 お母さんは真美子ちゃんの頬をゆっくり撫でさすりながら、レムリアを見た。
「不思議な気持ち。あなたには、本当に、魔法があるのかも知れない……」
「だとしたら、その私をお母様に巡り会わせてくれたのは、まぎれもなく、真美子ちゃんの魔法です」
 レムリアはお母さんの目をまっすぐ見ながら答えた。
 そこにいるのは“母”である。最前まで布団に身体を横たえ、死を意識していた痩せこけた女ではない。立ち向かう意識を宿した瞳、まっすぐに伸びた背筋。
 発揮される意志のエネルギーは、オーラの如く母体を包み、決して不健康には見せない。
「私の魔法?」
 自分を指差す真美子ちゃん。
「そうだよ。まみちゃん、お母さんを治したいって一生懸命思ったでしょ?だからホラ、お母さんどんどん元気になってく」
 レムリアは言った。
 確信が生まれる。そう、これはまみちゃんの強い思いが届いた結果。
 そして、自分のなすべきことは終わった。
「大丈夫かなって、怖い気持ちになったら、私のこと思い出してね。きっとうまく行くから。魔法もう一つ」
 レムリアは指先で真美子ちゃんの唇にそっと触れた。
 そう、大丈夫。これで大丈夫。
「伸びないうちに召し上がって下さい」
「あ、ああ、どうもありがとう」
 お母さんはラーメンのドンブリに手を伸ばした。
 
 レムリアは食事の後かたづけをし、トランプやマジックで真美子ちゃんと遊んでから、母子の部屋を後にした。
 その後3ヶ月ほどして再度訪れたが、雑居ビルは取り壊されて既に無く、“ばんば屋”の主人によると、母子と一匹が引っ越しの挨拶に来たという。
「すっかり元気になってたよ。故郷の介護施設で働くって。そうそう。これを預かった」
 主人が持ってきたのは丸めた画用紙。
 開くと“まほうのおねえちゃん”。
 描かれているのは三角帽子をかぶり、ほうきにまたがった“おねえちゃん”と、
 その後ろを、小さなほうきに乗って飛ぶ、女の子“まみ”である。
 
東京魔法少女/終
 
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