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アルゴ・ムーンライト・プロジェクト第2部-020-

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 エンジン。この船の主機関。
 採用されている原理は、一般に公開されている情報では、原理が前記1930年代。実用化への着手は、概念設計の開始が20世紀終焉の頃。21世紀初頭時点での見通しでは、実際に作れるのは22世紀後半と言われた代物である。しかも、時速25万キロという速度は〝巡航速度〟であって、全能力の1パーセントにも満たない。当然ありきたりなジェットやロケットなどではない。
 相原の目が子どもの、男の子のそれであるとレムリアは気付く。博物館で昔の飛行機や蒸気機関車を見上げる小さな子と全く同じだ。
「夢じゃないですよね」
「ああ」
「結局反水素(はんすいそ)で?」
「いや陽電子(ようでんし)に落ち着いた。電荷(でんか)を持ってる方が電磁界で御せる。加速器で回しておけばいいからな」
 会話弾む二人の後ろでレムリアはまるで取り残されたようである。文字通り内容について行けないからであり、だったらついて行く必要は無い気もするが、彼を誘うのは自分が仰せつかった話で、OKしたから後は放置、では気が引けるというのはある。勿論、彼が心底納得してくれたのか、という思いが払拭できていないことも手伝う。
 一行は操舵室を出、船尾方向へ歩くこと少々。
「ここだ」
 シュレーターが示したのは、一見普通のドアパネル。
 しかし操舵室同様、これを人力で開けることは出来ない。
 ドア脇の数字キーから暗証番号を打ち込む。
 システムが番号を受け付けると、ハンマーで鉄板を叩いたような、鋭く強い音。
「わ!」
 大きな機械音にレムリアは驚いた。操舵室の物より更に屈強な油圧カンヌキが内部で動き、ドアが開き出す。するとまるで、歌番組の安っぽい演出のように、ドアの隙間から流れ出すスモーク。
 内部温度が低いために、こちら側の水分が凝結して霧になった。
 
(つづく)

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