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アルゴ・ムーンライト・プロジェクト第2部-028-

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 対し、この船は星の海遙か果てへと旅することが出来、その速度は亜光速。
 その名を冠し、この現代に蘇らせるとして、この船ほどふさわしい存在が他にあろうか。
 星の海を駆け巡る。
 しかし。
「でも、燃料が宇宙へ行くほど大量に作れないから、人命救助、なんですよね」
 レムリアはシュレーターに訊き、相原を見た。それは、マニュアルと言うより顔合わせの際に聞いた話。
「うん。恐らくキログラム単位で陽電子が確保できれば、この船の質量5トンからして、一番近い恒星までなら行って帰ってこられる。だけど簡単にたくさん作れない。……ドクター、こいつの陽電子は」
「核融合炉(かくゆうごうろ)のおこぼれ」
 それが何かレムリアは知らない。ただ、炉(リアクター)という言葉の存在から、原子炉の親戚であろうことは問い返す必要を感じなかった。高速宇宙船のためだけにその手の大がかりで〝核〟がからむプラントを運転することは許されないだろう。
 それと、この船の存在が極秘なのは、自分たち超能力者をかき集めたことの異常性のみならず、そうした技術の粋を集めていることも関係しよう。
「安保理(あんぽり)がこれ知ったら国際問題ですね。……良く考えたらどえれぇモノ乗ってるなオレ。オレ自体外為令別表(がいためれいべっぴょう)ってか。あれ?外国で得た技術は対象外だっけか。宇宙用のプロパルジョンはだめだな」
 相原はひとりごちて苦笑した。安保理とは国連の安全保障理事会のこと。また、別表とは、日本の法令で外国への提供が規制されている技術を集めたリストのことであるが、その内容は国際間で移転が制限されている技術でもある。
「だから極秘な。これからはお前の口もな」
 シュレーターが冗談めかして応じる。しかし、移転を制限している理由は大量破壊兵器に利用可能であるためで、笑みの割に責任は大きい。
 
(つづく)

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