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アルゴ・ムーンライト・プロジェクト第2部-042-

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 船体が水平に戻る。彼らは甲板の上に身を転がす。船が浮上し、眼下で大量の水が車を押し流して行く。
 一連の動きは一般に間一髪だったわけだが、この船の能力上、一瞬は充分な時間でありインシデントとは言えず、その評価は当てはまらない。
 むしろどうでもいい。
 船による回転の力に、夫婦の固く結ばれた手指が今度は離れた。挟まれていた男の子が転がり出る。
「私が。操舵室、船の水平を保持して本部の病院へ向かって下さい」
 レムリアは言った。手早くまず3人の脈を診る。脈はある。呼吸もあり水も殆ど飲んでいない。男の子に至ってはう~んと声を発して身じろぎ。
 気が付く。
「(ここは?)」
 男の子は目を開けるなり、すぐさま半身を起こした。
 周りを見回し、気付く。
「(あっ!ママ!パパ!……お姉ちゃん誰?)」
 男の子が見つめる両親は深刻である。顔にはむくみがあり血流の鈍きを語る。意識は無く、レムリアがつねったり、瞼を開いて瞳をペンライトで照らしても、反応がない。
 レムリアは熱見るように額をあてがい、超能力を使う。
 戦慄する。
「このままじゃ意識が戻らないかも知れない」
 レムリアは相原を見た。
 報告半分質問半分。
 いや、自分は多分に彼に答えを求めている。
 理由は判らない。ただ、彼に告げることが正しいような気がしてならない。
 船長代理だから?人体に関する知識は自分の方が上だと思うが。
「それは目が回っていると言うことか?脳震盪?」
 相原は戸惑うでなく、即座に応じた。
「そんな単純じゃない。脳にダメージ受けた可能性が」
 レムリアは唇を噛んだ。ずっと回転に晒されていたのだ。血流のバランスはめちゃくちゃだろうし、中で血管が破れた可能性すら考えられる。
 MRIを使った医師による診断が必要。ただ、それまで何もせず待てない。
 
(つづく)

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