« アルゴ・ムーンライト・プロジェクト第2部-042- | トップページ | アルゴ・ムーンライト・プロジェクト第2部-044- »

アルゴ・ムーンライト・プロジェクト第2部-043-

←前へ次へ→
 
「本部病院に脳外科の手配を!男女1名ずつです」
 セレネに依頼し、回答はイヤホンにピン音。
 男の子が動揺の面持ちで二人を交互に見る。未知の言語でも、事態の切迫は雰囲気とイントネーションから伝わるものだ。
 すると、男の子の傍らにスッとしゃがみ込む、不死身の偉丈夫。
「(大丈夫だよ坊主。このねーちゃんはなぁ、魔法使いなんだ)」
 ラングレヌスは片言のドイツ語で言い、男の子を抱き上げた。体躯に相応しい、強大にして盤石な父性があった。
 相原がその様をチラリと見、レムリアに目を戻す。
「呼びかけろ。呼びかけ続けろ。意識をつなぎ止めろ。天使になれ!」
 相原は、言った。
 彼の発言の背景は、その人身売買組織に捕まった子ども達を発見した際のことだ。レムリアは子ども達を勇気づけるのに天使という存在を使った。
 及び〝夢のようなその時〟における、相原自身の認識。
 壊れた心で雪原に佇んでいた彼は、失神の漸近線を彷徨っていた。
「あの日、オレは君の声をずっと聞いていた」
 相原は言い、レムリアにテレパシーで読み取れと言ってその認識のイメージを寄越した。
 それは〝脳からコネクタが抜かれて、心臓の位置に沈んで行くような感覚〟だったという。
 彼は言う。意識の中枢は実際には胸部・心臓と同じ位置にあり、脳は情報収拾と処理のための出先機関に過ぎないのではないか。
 意識の顕在とは脳にあることに過ぎず、また潜在とは単に胸の位置に引き込んでいることではないか。
 意識の情動を〝心〟〝My heart〟と呼び、精神的な衝撃が胸を突くのはそのせいではないか。
「そして、オレは戻って来た」
 相原の言葉にレムリアは頷いた。彼に尋ねたのは正解だったと納得できた。
 レムリアは月明かりに身を翻した。
 
(つづく)

|

« アルゴ・ムーンライト・プロジェクト第2部-042- | トップページ | アルゴ・ムーンライト・プロジェクト第2部-044- »

小説」カテゴリの記事

小説・魔法少女レムリアシリーズ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: アルゴ・ムーンライト・プロジェクト第2部-043-:

« アルゴ・ムーンライト・プロジェクト第2部-042- | トップページ | アルゴ・ムーンライト・プロジェクト第2部-044- »