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アルゴ・ムーンライト・プロジェクト第2部-044-

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 つむじ風のようにくるり回ると、男の子の目が丸くなった。
「(天使だ……)」
 但し、翼の代わりに白銀の月光を背負う。
「(お子さんは助かりました。次はあなた方が助かる番です。あなた方は、あなた方の宝を、あなた方の全てで守った。さぁ、手を伸ばして、さぁ、抱きしめて、さぁ、声を掛けて)」
 呼びかけて両親の反応を見ると、二人の〝意識〟は、相原の言うように脳と胸……心との間にあった。
「(君も二人に声を掛けて。呼び戻して!)」
「ママ!パパ!」
 男の子が呼びかける。
「(助かった。ぼく助かったよ。魔法使いが天使を呼んで助けてくれた!次はママとパパが助かる番だよ!天使さんが言うんだ。間違いない)」
 涙ながらに叫び、揺さぶり、手を引っ張る。脳のダメージは頭部への刺激が一番良くないが、この場合は別だろう。
 対し、超能力が答えて言うには、両親の意識は、揺れている。
 声は聞こえている。ただ、自分たちの〝意識〟がどんな状態にあるのか、理解できていない。理解してもらうには、……そう、相原がそうであったように呼びかけ続ける。
 イヤホンにコール。
『間もなくコルキス本部病院屋上。ストレッチャーが待機しています』
「ありがとうございます。さぁ、助かりますよ。間もなく病院です」
 船が高度を下げる。このプロジェクトにおける救助活動の対処は二通りである。最大の危機にのみ手を出し、後は通常のレスキューに引き継ぐか。こうしてコルキス王国の本部と提携している病院(王立病院)に搬送するか。
 後者は基本的に選択しない。遭難場所から遙か離れた病院に運ばれた背景を説明できないからだ。遭難による不安定な心理に、理解不能の事態を突きつけると、精神衛生上の問題に発展する可能性も考えられる。
 船は風を纏い、コルキス城内一角、リゾートホテル風の佇まいを示す3階建てのビル屋上に着地する。しかし、二人はなるべく頭部を固定しておきたいので、甲板から船内へ通じる狭い階段を使うのはどうだろう。
 
(つづく)

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