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【妖精エウリーの小さなお話】花泥棒-19-

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「うん」
 かおるちゃんは元気良く頷きました。
「そう、ありがとう」
 私は言うと、彼女の頭を〝なでなで〟。
 すると。
〈ああ、なんかオレの役目、終わった〉
 ジョンが言いました。
「えっ?」
 かおるちゃんが驚いた顔を見せます。
「かおるが何かやることを見つけた。そう思ったら、もう大丈夫、もう終わった、そんな気持ちになった」
 ジョンは言いました。え?セリフのカッコの形が違う?間違えたわけではありません。彼は今、完全に犬の身体を、肉体を離れ、音声を念動力の原理で空気震わせて作れるようになったのです。
 かおるちゃんがそのことに気付きました。
「これお姉ちゃんの魔法?」
「オレ、行ってもいいか?」
 私が答える前にジョンはかおるちゃんに尋ねました。
 かおるちゃんはかおるちゃんで、魔法という新たな存在への実感がジョンと別れる悲しみを打ち消し、次元・環境の変化へ前向きに変わって行きます。
 パラダイム・シフトが起こったのです。
「二人とも、新たな使命に気付いたようですね」
 ガイア様が言いました。表情は見えませんが笑顔でいらっしゃると容易に想像が付きます。
「はい。かおるはもう心配ない。自分、次の子の所へ行く用意があります」
 ジョンは凛々しく立って答えました。まるで誇り高き狼のようです。
「私もその可哀想なわんちゃんとお母さんのために頑張れます!」
 かおるちゃんはまるで選手宣誓のように背筋を伸ばして言いました。
 ペットロス症候群という言葉があります。ペットが家族であり、その命の意義・価値が人間と等価であるからこその喪失の悲しみです。
 ただ、それは当の動物たちにとっては本当は不本意なのではありますまいか。
 悲しませるために飼い主の元に来たわけでは無く、
 ほぼ確実にペットの方が先に寿命が来る。それは涙で看取ってもらいたいわけでは無く。
 当然であるからこそ、強くなって欲しいから。
「私大丈夫だよ」
 
(次回・最終回)

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