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【妖精エウリーの小さなお話】花泥棒-終-

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 かおるちゃんは言いました。
「お母さん言ってるもん、誰かのためになりなさいって。あなたがいて良かったって言われる人になりなさいって。私、ジョンがいて良かった。お姉ちゃんに会えて良かった。お姉ちゃんの魔法、可哀想な犬のために使えるよ。そして、多分、私が誰かのためにいることが、お母さんの安心」
 大人って年齢で決まるものじゃ無いと思うんです。
 私、19歳を200年以上続けていますが、自己認識として、〝事実上19歳〟に甘えているところがあるのかも。
 使命は認識しています。生き物たちの相談相手。
 その場合、使命の成果って何でしょう。ひょっとして相談不要になること。つまり、妖精の仕事が無くなることでは。
 時間が来たようです。
「じゃぁ、かおるちゃん、ジョンを次の飼い主の元へ行かせてあげてもいいですか?」
 かおるちゃんは頷きました。そして、全てが元に戻るには、一瞬。
 夜の住宅街。街灯の下に立っている、と判るまで少し時間が掛かりました。
「……おうちのそば」
 かおるちゃんが言いました。トガをまとったその姿はまるで〝ミニ自分〟。
 いいえ、実際そうなのかも知れません。
「約束のおまじない」
 私は自分のトガの裾を細く帯状に破いてりぼんにすると、かおるちゃんの髪の毛にくるくる。
「これが魔法?」
「そう。動物とお話しするときはこれを使って」
「試していい?」
「もちろん」
 私が答えると、かおるちゃんは歩き出しました。どうやら能力をテストする心当たりがあるようです。角を曲がって大きな柿の木のある家。
 道にせり出した枝の下、ネコたちが集まっています。いわゆるネコ集会。
 ネコたちは私たちを見て一斉に驚きを見せました。
〈人間の女の子が妖精になってるぞ〉
〈て言うか、こいつかおるじゃん〉
〈お前オレ達の言葉判るんだな。じゃあ教えてやる。母ちゃんが心配して探してるぞ〉
〈こっちだ、来い〉
「そう?じゃあ案内して。あたし行くね。お姉ちゃんバイバイ」
 彼女が、獣医になったと聞いたのは、ずっと後の話。
 
花泥棒/終
 
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