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アルゴ・ムーンライト・プロジェクト第2部-052-

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 大画面の船外画像には「EPIRB位置情報による」と注釈の付いた赤い「+」のマーク。子画面に地図があって南緯88度。
 しかし南極大陸内奥の氷原であって、船が浮かぶ場所には思われず、また当該船舶の姿もない。
「その後ビーコンは?……レムリア追尾できるか?」
「はい……待って」
 レムリアはコンソールに取り付いてタッチパネルを操作。
「20秒間にわたって西南西へ移動。そこで途切れています」
「移動距離は」
「100メートル」
「誤差に近いんじゃないのか?……テレパシーでは」
 相原はセレネを見た。
「いえ。実際の遭難事象はもっと前だと思われます。また、過去認知でも悲鳴や危機感は察知されないので、恐らく、恐怖を感じるヒマすらなく何かに巻き込まれたのではないかと。レムリアはどうですか?」
「何も感じません」
 思わず敬語で答えたが、そこには船長がいるのではなく、はんてん姿で腕組みしながら頷いている相原がある。
 ただ、堂に入っている。大体、手慣れたというか、それこそ船長アルフォンススの流儀をそのまま再現できている気がする。
 前回、相原は船には乗ったがミッションに参加したわけではない。ただ、レムリアが過去の活動を語って聞かせただけ。
 それだけで我が物レベルで活用できるまで把握してしまったということか。
 それが彼に対するカウンセリングになると船長は話した。……これほどまでであるとは。
「硝煙反応、SAR」
「あ、はい」
 レムリアは言われるままに操作。自分で考えるより指示待ちになってしまっている。この男の発想と判断を無意識に信頼している。
「硝煙?撃たれたってのか?」
 アリスタルコス。
「海生哺乳類の密猟って話を聞くから」
「誤射か……え?見られたから射殺しようとした?どっちにしろ捕鯨砲で撃たれてビーコン飛ぶなら船が木っ端微塵ってことだぞ?」
「あのいいでしょうか、クレバスがあるようです」
 レムリアは男達の会話に声を挟んだ。
 クレバス。氷の割れ目。
 
(つづく)

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