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アルゴ・ムーンライト・プロジェクト第2部-053-

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 SARが検出した地形の輪郭線を、正面スクリーンの氷原に重ねる。
 肉眼では判然としないが〝筋〟が画面を斜めに走っており、救難システムの移動軌跡100メートルはそこに合致する。
 クレバスに落下し、中で移動中に信号が途切れた、と判断して良さそうだ。
「降りますか」
 相原は言った。氷原下に降りて捜索。
「ああ、それしかあるまい」
「では副長と博士……」
「私も行くから!」
 相原に留守番と言われる前にレムリアは言った。
 言われそうな気がしたから。お前は残れ、と。
 しかし。
「真っ先に必要になるのは君だから」
 相原は当然とばかりの口調でそう言った。
「……了解、船長」
 レムリアは応じた。安堵のせいか真剣な状況なのに笑みが出てしまう。
「捜索に出ます。レムリアは救護用具一式、我々は銃器背負って昇降口へ……」
「着陸。構体着氷。不安定なので下船注意」
 相原が言い終わらぬうち、シュレーターが船を氷上に下ろし、報告。
「着氷確認。では、総員耐環境ウェアを着用し下船集合。40秒」
「了解」
 男達は銃を取りに船首方向、通称〝武器庫〟へ。レムリアは自室へ戻り、クローゼットから耐環境ウェア、すなわち件の万能スーツを取り出す。彼女は季節よらず普段着はTシャツ短パンでいることが多いが、これは薄着の方が機能的だからであると共に、殊この船に乗っている限り、これの脱ぎ着が楽だからである。年頃の娘にしちゃオシャレに気を配らないと自覚してるし、そんな自分でも女だという自覚はあるが、その前に使命持った人間であって、
 女の子っぽいよりは飾らずにいたい。
 ウェアを着込み、個室奥の床板を開くと、滑り台が顔を出す。そこから降りると船倉部に組み込まれた医療機械室……生命保持ユニットに出る。そこは本来の宇宙航行では、観測機器類を積み込むスペース。
 
(つづく)

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