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アルゴ・ムーンライト・プロジェクト第2部-054-

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 滑り降り、そこに非常持ち出しよろしく用意してあるザックを背負う。中はAED(自動体外式除細動装置)を始め応急救命用具と薬が幾つか。放射線障害用のヨードも入っている。
 舷側通路を走って、昇降スロープを駆け下りる。
「そこ滑るぞ」
「え?」
 背格好でそうと判る相原に言われて、スロープから一歩足を下ろしたところで立ち止まる。
 べしゃっ……それが足音と感触。まるで雨上がりの水たまり。
 ここは、雪と氷の白き大陸、南極。
「溶けて……」
「るよ」
「温暖化」
「じゃねえの?アルプスと一緒だよ」
「こんなに……」
 見回せば水たまりが幾つも幾つも……それは子どもが泣きながら走ってきた跡のような。
 そう地球が泣いてる涙のよう。
「それでヨッシャ北極溶けて新航路が作れる!とか、オレの領海だ!とか、海底資源を漁れるぞってのが偉大なる人類の考えることさ。でも環境問題は後回し。クレバスに降りる……普段どうやってんの?こういう場合」
 相原は早口で言い、話題を変えて大男二人に訊いた。
「あ?まぁ、こういう状況不明の危険な事態はだな」
 アリスタルコスが言い。
「とりあえず不死身が突撃するんだよ。縄梯子用意しとけ」
 ラングレヌスが引き継いで、そのクレバスへひょいと身を投じた。
 レムリアは「あっ」と声を出すヒマすら無かった。この野郎共のやることに命がけで未知に立ち向かう緊張感はない。だが、実際にはとてつもなく危険で、そして凄いこと。
 連中と一緒にいると奇蹟が当たり前に思えてくる。魔法使いという自分のスキルがかすむ。
 最も、それこそがアルゴプロジェクトの使命なのだが。
 イヤホンに感。
『魔女看護師、プラズマ船長、出番だ』
「了解。場所は判る。……レムリア行くぞ。アリスは白クマでも警戒してくれ」
 縄梯子一巻き背負った相原に促される。
「あ、うん」
「南極に白クマがいるかバカ。ふざけるな」
 
(つづく)

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