アルゴ・ムーンライト・プロジェクト第2部-055-
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アリスタルコスは鼻白んだが。
「ふざけて聞こえたらゴメンよ。今日び人類はどこでどんなバカやってるかワカランてことさ。断層のウラン鉱に水ぶち込んでプルトニウム作ってたバカいたんだろ?」
想定外出現あり。対しアリスタルコスはニヤリと笑い、
「警戒しすぎの気もするがな。まぁでも人為的でないって証拠もないわな」
アリスタルコスは銃の安全装置を外し、スコープを顔にセットする。
修羅場でも、修羅場だからこそ軽口を。その位冷静で頭が回らなくては。レムリアが思い出したのは、著名なスパイ映画の主人公。
相原を見る。この平和な国に住む野暮ったい男は実は……。
まさか。ただ一つ明らかなのは、彼には彼なりのリファレンスが存在し、今ここにいる限り、防弾服と銃器の故にその通り動けているのではあるまいか。
だから冷静でいられる。
そして頭が回る。いつの間にか自分さえ知らないアタッチメントをプラズマガン銃身下に装着している。マニュアルにあったのだろうが記憶にない。ただ、その組み合わせて出来上がった姿は、ゲリラ兵士が良く持っているミニ大砲みたいなのを装着した(グレネードランチャーのことか?)自動小銃を思わせる。似たような物だろう。
そして、相原がその砲口から差し込んだのは、砲弾ではなく短剣状の、
「それって雪山登山でロープを結ぶ……」
「そう。ハーケン。高温でガス圧を上げて打ち込む」
ラングレヌスが飛び降りた位置を確認し、クレバスの壁面すぐ脇で銃口を氷床に突き立て、短時間のチャージで発砲。
原理的には空気銃である。その割には結構鋭い音が氷原に轟き、ハーケンは水しぶきを上げて氷床に突き立った。
2本打ち、縄梯子を引っ掛けて割れ目に垂らす。
氷の中は、まるでこれから巨大なサファイヤの中に入り込むよう。
(つづく)
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