アルゴ・ムーンライト・プロジェクト第2部-056-
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縄ばしごを下りて行く。下の方で動くライト。
「中は空間で川が流れてる!」
彼の声はすれども、その偉躯を視認するには至らず。
姿が無いこと、及び声の反響から感じるに相当深い。全面氷なので真っ暗まで行かないが、無色透明でもないので、行動に難渋する暗さ。
相原が再びランチャーに何か仕込んで、氷の壁めがけて打ち込んだ。
白色発光ダイオードの冷めた光が空間に光を届ける。使い捨ての照明ハーケンである。
何本か打ち込んだら、氷のブルーもあろう、コンサートのステージのようだ。
そして、照らされたのは、うずたかく積もった氷片の山と、その中に物影。
何かが氷の中に埋もれているのは明らか。
「どうするよ」
後から下りてきたアリスタルコスが尋ね、梯子途中より飛び降りた。彼が来たからには、氷上に懸念は無いと判断された、ということだろう。
仮に何かあれば船のレーダが拾う。
「まず生死を確認する。テレパス」
相原が言う。船長の流儀。
「何も感じません。……仮死状態かと」
「逆に生きてる可能性はあるな」
「ええもちろん」
仮死状態の方が、身体が動いていない分、体力の消耗は逆に少ない。ただし安心という意味ではない。可能性が変わるだけであって、急ぐべきであることに変化はない。時間という尺度には何ら寄与しない。
方策を立てる要がある。今ここにある救助支援機器……銃器は、レーザ、レールガン、プラズマガン。ちなみにレムリアはいつもこういう場合の方策会議に参加してはいるが、その中身は銃器の有効利用法であって、意見が採用されるどころか、提案できたためしがない。
「レーザでブロック状にカットして各個ブロックをレールガンで吹き飛ばす。救護対象に近づいたら、後は自分がプラズマで少しずつ溶かす」
(つづく)
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