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アルゴ・ムーンライト・プロジェクト第2部-057-

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 今回は相原が即答した。初めて参加したはずなのにこの把握力はどうだ。最も、男性はおしなべて銃器武器の類は好きと聞く。
 なお、彼は手のひらで包丁を使うようなジェスチャーをしたが、そのアイディアが〝豆腐〟の切り方だとレムリアが知るのはかなり後のことである。
「なるほど」
 兄弟が答える。双子であり、どちらが答えたか、或いは同時にであったかは定かでない。
 ただ息が合っているのは確かなようであり、リズム良くレーザ光線によるカットと、レールガンの撃ち出すアルミブロックによる氷塊撃破が数回繰り返される。
「吹き飛ばすよりは破壊になったな」
 相原が言った。
「お前のアイディアは発想自体は確かに船長並だが見通しはまだ甘いな」
 ラングレヌスが応じ、幾度目かの〝ブロック崩し〟を実行した。
 氷の向こうに様相が見て取れる。構体……ソリとも船とも付かぬ……が埋もれており、逆立ち状態。
 ただ、明らかなのは、黒色のパネルに覆われており、直接人体は確認できないこと。
 そして、黒いパネルはその照明ハーケンの白い光を弾いてキラキラ光る。鉱物結晶体に表面が覆われていると判断できる。
「太陽電池か」
 相原は言いながらプラズマガンを構えた。
 太陽電池で南極を移動……その状況にレムリアは心当たりがあった。
「ああ、どこかの大学の女の子が、太陽電池の電動ソリで南極横断しながら地球温暖化の調査をするとか」
「何だそりゃ。スコット隊じゃあるまいし。大体こういうとこって犬ぞりじゃねぇのか?古いか?」
 アリスタルコスが尋ねる。相原が小さな火の玉を幾つか発射し、溶け方をチェック。
「犬ぞりの乗り入れは禁止されました。生態系を乱すから」
 レムリアは言い、相原の背後に近寄った。超感覚にその女子大生の生命反応を見させようとしたのである。ちなみに、スコットとはアムンゼンと南極点一番乗りを競った冒険家であり、動力ソリを持ち込んだ。そして、極点到達はアムンゼンの後塵を拝した上、吹雪に閉ざされて客死した。
 
(つづく)

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