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アルゴ・ムーンライト・プロジェクト第2部-059-

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「相原さん!」
 叫ぶが応える声無し。アリスタルコスが相原の身体を起こし、ようやくレムリアは氷から身を離す。
『どうしましたか?』
 セレネの心配。その向こうで「ビーコン再補足」というシュレーターの声。
 相原が片ひざ突いたアリスタルコスに抱えられる。頬をペチペチ叩かれると、薄く目を開いた。
「お前はケガ無いのか?だったら……女の人を……」
 その状態で相原が最初に見せた言動がこれ。よろよろと手指を伸ばす。見れば眼球が小刻みに震えている。頭部を強打して脳震盪状態に相違なかった。
「でも」
「今、大事なのは!?」
 彼にはそれでもどうにか意識がある。比して。
「判った」
 レムリアは歯を食いしばって女性にとりつく。心拍と呼吸と瞳孔反射。
 背中のザックを下ろし、耳温計を取り出して体温を測り、服の胸元を切り取ってAEDの電極パッドを貼り付ける。心電図はAEDに任せる。
 体温は30度あるかないか。低体温状態だ。そしてAEDの音声誘導によれば、心室細動を検出、除細動処置……。
 電気ショックが走るが回復せず。ラングレヌスが体格に物を言わせて心臓マッサージ。
 彼に任せ、ザックの中に丸めてあった簡易寝袋を取り出す。空気を入れて膨らませ、その空気に断熱をさせる。ポンプで膨らませる作業をアリスタルコスに任せ、自分は加温パッドをザックから引っ張り出し、女性のウェアに手を入れて脇と腿と腰にセット。
 船を呼びつける。クレバスの真上に来てストレッチャーを下ろして欲しい。
 女性を寝袋に移し、心臓マッサージを続ける。
 船が氷上を滑ってきてクレバスの上を跨いで止まり、生命保持ユニット(つまりは船倉)の側扉を開く。中からアームが2本外に伸び出し、客船の救命ボートよろしく、ロープで吊られたストレッチャーを下ろしてくる。
 イヤホンにピン。
 こちらが声を出す前に、とんでもないことをシュレーターの声が伝えてきた。
 
(つづく)

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