アルゴ・ムーンライト・プロジェクト第2部-062-
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一般にミサイル躯体(くたい)は軽量化のためアルミニウムや炭素系素材の使用が多い。レーザの光条は弾頭に組み込まれた起爆装置を射抜き、次いでレールガンのアルミ塊は、胴体部分にある推進装置を破壊した。
起爆不能となった弾頭は、ただの耐熱木偶となって氷上をそのまま滑走して行き、次いで、穴の開いた推進装置は、燃料(ヒドラジン:猛毒)を渦巻き状に吹き出しながら、どこかへ飛んで行く。
『ミサイルの破壊を確認。戦闘ヘリは逃走した。こちらで追跡対処する。3分要する見込み。その間に要救護者回収急げ』
「了解。ヘリの所属分析試みられたい」
相原が答える。
『了解』
レムリアがストレッチャーを女性の傍らまで移動していたので、男達が加わり、女性をそちらに移す。全員手袋を外し、心臓マッサージ及び加温のための手足のマッサージを交代で続ける。その間、AEDが電気ショックを何度か放つが、心拍は回復せず。最も、筋肉が動くにはある程度温度が必要であり、ここまで低いと動き出すレベルに足らぬ。
だが、続ける。人の手で本来あるべき姿をサポートし、なるべく維持することに意味があるのだ。
「静かすぎる」
アリスタルコスが不機嫌そうに呟く。確かに、ここでは水の音が少しするのと、AEDの指示音声があるのみ。
上の方は戦闘ヘリとバトルに入ると見ていたが、これと言った音が聞こえない。
「離れたか?」
「離すため、だったりしてよ」
「……相原代われ」
双子は呟いて銃をそれぞれ構え、マッサージを相原に託した。
「……何が?」
レムリアは相原に訊いた。二人が危機感を得たことは感じたが。
「戦闘ヘリが囮になって船をここから引き離し、オレ達だけ残させたんじゃないかってこと……セレネさんとテレパシー通じるか?船は今どこで何をしている?」
「あ、うん……」
呼んでみて、戻ってきたイメージは少々、大ごと。
(つづく)
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