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アルゴ・ムーンライト・プロジェクト第2部-065-

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 船に戻り、欧州までの1万キロ超を跳躍し、女性をセンターに届け、南極へとんぼ返り。
「判っちゃいたけど……地球って大きいようで小せえなぁ」
 相原が言った。
 以下、〝戦闘〟に備え、そちら方面に覚えのあるアリスタルコスの指導を仰いで行動。まずはクレバスより少し距離を取った位置に降下し、電子の目と耳で様子を見る。
「相手の意図するところが〝罠に嵌めて全部流す〟であれば、現地からは見かけ上消えた方が裏をかけるからな」
 操舵室の上向き液晶テレビの前に集まり、状況確認と作戦協議。
「ラングさんって水中で呼吸できなくても生きていられるんでしょうか?」
 レムリアは尋ねた。幾ら不死身と言われても、何も反応がないのはやはり心配。
「無呼吸でどれだけ生きてるかは知らんけどな。とりあえずはレールガンの燃料電池から酸素食ってるだろうよ」
 船が把握した状況を液晶テレビに全部出す。南極大陸はその分厚い氷床質量で中央部が凹んでおり、その氷床下に90以上の湖が発見されている。件の戦闘ヘリコプターの逃亡軌跡もそうした湖の上で途切れている。
「何か作った?」
「何のために」
「鉱物資源の盗掘」
 南極は国際条約でどこの国にも属さない。
「どうやって運び出すんだ。〝悪の枢軸〟監視で軍事衛星がウロウロしてるぜ?」
 それこそ〝ワッセナーアレンジメント〟による禁制品を第3国経由で迂回調達しようという試みは後を絶たない。
「隠してる」
 レムリアは男達の中に入って言った。
「妥当だな」
 味方したのは相原。
「何を」
「ひとつ、そこにあっても不自然じゃないもの。もうひとつ、ばれた瞬間には既に手遅れで構わないもの」
「核ミサイルで世界を滅ぼせとか」
 シュレーター博士が言った。見つかった時にはミサイルは発射済み……確かに既に手遅れではある。
 
(つづく)

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