« アルゴ・ムーンライト・プロジェクト第2部-067- | トップページ | アルゴ・ムーンライト・プロジェクト第2部-069- »

アルゴ・ムーンライト・プロジェクト第2部-068-

←前へ次へ→
 

「……気をつけろラング。自動試行とか、届かないのは見せかけで測距してるだけかも知れない。……うんそうだ、終わったんじゃない。次は確実に来るぞ。来たら目を撃て。博士、船を現地、彼の真上へ」
「オーケー。両舷前進」
 船がそのまま氷上を滑る。空気浮上せずに直接船底で氷を擦っているので、ゴツゴツした感触と振動。移動距離が短いため、浮上して加速の儀式を経るよりこの方が早い。
『シャチ殺せ!?』
 食ってかからんばかりに、大男の声は気色ばんだ。
「メカか、メカ埋め込まれたサイボーグのどっちかだよ。視神経は脳に直結ってね」
『ホントかよああ来たぞ。飛んだ。さっきと違うぞ……おおロックオンか?これ!』
 シャチは少し距離を取り、ラングの位置よりやや高い空間まで飛び上がった。
 空を泳ぐモノクロツートンのキラーホエール。
 その右目がスコープ越しに白くチカチカ光って見える。レーダに加え、照準装置を内蔵していることは間違いなかった。ちなみに、白いと書いたが恐らく可視光線ではない。テレビカメラ、デジタルカメラに使われる撮像素子は赤外線を捉えるが、これらはディスプレイ上では白く表示される。お手持ちのこれらカメラに家電用のリモコンを向けて試されたい。
 斯くして、巨大な海生肉食哺乳類は、その顎を大きく開き、尖った歯列を剥き出しにし、デジタル制御で標的を定め、
 空を泳いで来た。
「ラング!狩れっ!」
『畜生この化け物がっ!』
 葛藤をやけくそで振り払うように彼は引き金を引き、電磁射出されたアルミ弾は白煙を上げて空中を疾り、シャチの照準装置に命中した。
 火花が散り、その装置がシャチの眼窩からえぐり出され、どこかへ飛んで行き、血しぶきが散る。
 シャチの身体が弛緩したのが判った。装置の破損、神経系への電気ショック、脳へのダメージ、伴う失神。そんな流れ。
 
(つづく)

|

« アルゴ・ムーンライト・プロジェクト第2部-067- | トップページ | アルゴ・ムーンライト・プロジェクト第2部-069- »

小説」カテゴリの記事

小説・魔法少女レムリアシリーズ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: アルゴ・ムーンライト・プロジェクト第2部-068-:

« アルゴ・ムーンライト・プロジェクト第2部-067- | トップページ | アルゴ・ムーンライト・プロジェクト第2部-069- »