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アルゴ・ムーンライト・プロジェクト第2部-080-

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「クジラたちから伝言、エサが来たから食べたい……潜ります」
『クジラ達が探知不能になりました』
 レムリアの報告を船からの情報が裏打ちする。
「エサがあるぞ、で釣るわけだ」
「そうみたい……追う?」
「いや、クジラの誘導システムを解析したい。本部の直接指示って奴だろ。博士、交信先は判りましたか?」
『衛星を4機経由させてカモフラージュしてるが、結局1周して戻ってきている。Xバンド(えっくすばんど)でホッピング……』
 以下安全保障上の理由から詳細を省く。Xバンドとは軍が用いる通信帯域である。
 そして、とある島の名をドクターは口にした。
 レムリアは反射的に身体がびくり、と震えた。
 その反捕鯨国で、その島の名で、思い浮かべる事象が一つあった。
 医療とか、福祉サイドの人間として、それは真逆対極に位置する、言うなれば生命と人間の尊厳に対する犯罪。
「人間狩り」
「その通り。クジラって地球規模で回遊してんだよな」
 二人は日本語で会話した。
 それはホールドアップの男達にはひたすらな不気味さと恐怖を与えたようだ。こちらが圧倒的に有利な立場にあるのに何もしないからだ、と如実に判る。勝利を目前に敗者を弄ぶ勝者というわけだ。
 一方こちらも底知れぬ不気味さに怖気を震う。すなわち、その反捕鯨国は白人優越主義で知られ、領土内のその島に住んでいた原住民を白人向けの観光アイテムとして〝ハンティング〟させたのである。その後、

 白人優越主義を肯定する法律は廃止された。

 同じ行為に対し、翌日からは罪と定義。
 でも、それだけ。
「ええその通り」
 レムリアは言った。クジラの回遊に対する答え。段々、クジラ達の〝用途〟が見えてくる。
「てことは、日本にも、中国にも、インドネシアにも、海の中から行けるわけだ。海岸にクジラが迷い込んだぜ良くある話と」
 
(つづく)

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