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アルゴ・ムーンライト・プロジェクト第2部-084-

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「ここには知り合いの医者がいて、正直、疑いたくはなかったんですが」
 レムリアは言い、自分のコンソールでトラックボールをいじって、画面の中央、火山の北東斜面をズームした。
 南半球は北向きの斜面が日当たりの条件が良く、山がある場合、人間を含めた動植物はまずそちらから定住を始める。
「えっ?」
 レムリアは気付いて思わず声を上げた。そこは家とおぼしき草を葺いた建造物が等間隔で配置されている。ズームアップするが限界まで望遠側にしても画素が荒く、必要な情報を得るには至らず。
「これってリアルタイム画像、ですよね」
 レムリアはクルーを振り返り、誰にともなく訊いた。
「もちろん。間近で見たいか?」
「ええ」
「移動する。良いか相原」
 シュレーターが確認を取る。船は現在研究所直上。
「構わない。移動」
「了解」
 レムリアはその声を聞き、ズーム位置にマークする。
 船がマーク位置を目的地と指定し、スッと移動。
 そして、映し出された光景に、一同は息を呑んだ。
 家並みの周囲のそこここに、点々と横たわる人体。
 狩猟採集の民族であり、着衣は腰部を除き身に付けていない。
 船によれば体表温が気温と一致しており、従って、映っている全員が事切れて久しいと判じる。そして、それぞれの身体の周りには夥しく出血した痕跡。
「戦闘?」
 レムリアは大男達に尋ねた。
「違うな。身体に傷跡がないだろ?それに建物も破壊されていない。足跡が入り乱れてもいない」
「火山性ガス」
 これは相原。
「か、病気だね。船を降ろして外気を収集分析したい」
 レムリアは言い、相原の方を見て了解を求めた。
「了解した。ドクター、透過シールド保持。現状確保のため暴風を回避しセイルで滑空降下」
「了解」
 船はセイルを翼に使い、トンビの如く円を描きながら降下し、集落上部を覆う木枝のすき間から割り入って着地した。
 
(つづく)

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