アルゴ・ムーンライト・プロジェクト第2部-090-
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「で、オイラは携帯電話をぶっちぎりました。突然電波が無くなりました」
「電池切れと思うのでは?」
「その前に着信があったわけで。南極の騒ぎは知ってるはずなわけで。そもそもそれ故の医師の拉致だろ、どう見ても」
「因果関係があるんじゃないかと疑って当然か」
レムリアは下唇を噛んだ。自分が医師への電話を躊躇った理由。
対して、この男達は不利な情報をニヤニヤ笑いながら喋りあっている。
少し気が軽くなったのは何故か。
イヤホンにピン。セレネ。
『研究所より大量の人間が出てきました。武装集団と思われます』
「一個小隊か」
「そんなところだな」
双子が言い合い、小屋から一歩離れる。
引き続きピン、シュレーター。
『地対地ミサイル。着弾まで40秒。動くな割り込む』
その位通常なら銃器で応じる。しかし今、周りは森林であって、飛んでくる姿は見えない。
男達3人は背中を三角形に合わせて立ち、その三角形にレムリアを収めた。
「シーカー探知。各自スコープに出す」
相原が言った。シーカーは索敵装置。索敵用の電波なり音波なりを受信した、の意味。
つまり、自分たちは敵に発見された。
だが、程なく暴風が小屋を揺さぶった。
言うまでもなくアルゴ号である。小屋の周囲の諸々をなぎ倒し、揺さぶり、吹き飛ばして上空から舞い降りる。
自分たちの存在がバレたなら、周囲の保護は最早必要ない。
船底着地。
『戻れ』
未知細菌等を付着させた可能性もあるので生命保持ユニットに乗り込み、光圧シールドを張る。ラグビーボール形の光の膜が生じ、大地を削って穿ち、その際診療小屋も損壊させるが仕方がない。
上からミサイルが降ってきてシールドに命中し、爆発する。その火炎が煽られるように吹き飛ぶ。SFの概念であった遮蔽膜・バリアそのものが今ここに形成されている。彼らは保持ユニット内の液晶モニタで状況を確認。
(つづく)
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