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アルゴ・ムーンライト・プロジェクト第2部-091-

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『各員動くな、二波、三波を探知。油断させるためこのまま受ける』
 現代戦は空爆で大規模に叩き、相手の戦闘能力を奪ってから、歩兵による占拠・実効支配に移る。相次ぐミサイル攻撃は、それをセオリー通り仕掛けてきたと言えた。
 ミサイルが上空より次々飛来し、シールドで爆発して花火の乱舞さながらの様相を呈す。地面が揺れ、クレーターが生じ、燃える破片が飛び散り、周りの木々が折られて倒れ、火炎に包まれる。
『ミサイルはここまでだ。20人ほどの小隊接近。引き続き武装と兵力の確認を行う』
「了解。浮上して透過シールド。研究所の上へ移動されたい。我々はこのまま再度外へ出て研究所への侵入を図る。その前に携帯電話のメモリ内容を解析したい」
『心得た。しかし今一人共同解析を……出来ればお前が来い』
 相原は躊躇を見せたが、電子回路の解析であり、船長の能力を身に付けた相原は立ち会った方が良い。
「気にせず行け。連中の練度と武装の見極めは俺たちがやる」
 練度(れんど)……軍隊としてのレベルの高さ。
 アリスタルコスの発言を得て、レムリアは相原に携帯電話の基板を託す。
「お願い」
「了解」
 相原は洗浄エリアを通り、ウェアを脱ぎ、操舵室へ走る。
 一方、ユニットのモニタには、小屋の周辺を見回る兵士達の姿が映った。
 迷彩服にガスマスク、手にした銃器はサブマシンガン。一見して高機能な照準装置を備えており、先進国の銃器メーカによる新型とすぐ判る。手に持っている者と、小脇に抱えた者とがいるが、どちらでも使える設計らしい。
 機動性を維持しつつ、望みうる最重の武装であろう。しかしレムリアが抱いた率直な印象は、エサを求めて徘徊するハイエナの群れ。
「なんだありゃ」
 アリスタルコスが声を出し、その直後、画面がストップモーション。
 
(つづく)

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