アルゴ・ムーンライト・プロジェクト第2部-093-
←前へ・次へ→
「使ってるハンドサインなどはNATO系だ。船は無線を傍受しているか?」
『してるが反応はない。こいつら声で情報伝達はしてない。指示本隊があるわけではない。独立して動いて、何をどうするかは完全にコイツらにお任せだよ』
「オーケー。武器は最新でドイツとイスラエルが目に付く。着衣装備はCBW(ケミカル・バイオ・ウエポン……化学・生物兵器)戦闘仕様。展開方法や警戒法からして実戦経験豊富と見た。正規軍じゃヤバすぎる任務だし、後腐れのない傭兵部隊だろ。手強いぞ。こっちからは以上だ」
「待って。それで電話には何が?」
レムリアは訊いた。自分にとって知りたいのはそっち。
『忘れてないよ。留守番電話の応答メッセージの部分に何か録音されている。発音からラテン系までは判ったが。メディカルってのは聞こえた。そのまま流せばいいか』
「はい。お願いします」
レムリアが答えると、医師の声が流された。聞こえたなりを文字に起こせば、
Qua sola valent medicamina ista villa.
Utor medicinae omnes mortui.
Nec mihi morbi.
Periculosum.
Filoviridae.
ちなみに、この会話の間に、船は研究所の周囲をぐるりと回り、建物の形状、電力の流れ、発熱の有無、気流など測定。一般に人がいれば熱を出すので、建物のどこに人が多いか、目星が付けられる。
レムリアは訳した結果を口にした。
「確かにラテン語です。一文ずつ行くと、この村には有効な薬だ。死人はみんな薬を使った……いえ、薬を使ったらみんな死んでしまった、でしょう。私は病気にはなっていない。非常に危険だ。そして最後のセンテンスはフィロウィルス」
『え?』
相原は気付いたらしい。それこそ、先にコンピュータが照合したリストに出てきた。
(つづく)
« アルゴ・ムーンライト・プロジェクト第2部-092- | トップページ | アルゴ・ムーンライト・プロジェクト第2部-094- »
「小説」カテゴリの記事
- 【理絵子の夜話】城下 -04-(2023.09.16)
- 【理絵子の夜話】城下 -03-(2023.09.02)
- 【理絵子の夜話】城下 -02-(2023.08.19)
- 【理絵子の夜話】城下 -01-(2023.08.05)
- 【魔法少女レムリアシリーズ】魔法の恋は恋じゃない -24・終-(2023.07.26)
「小説・魔法少女レムリアシリーズ」カテゴリの記事
- 【魔法少女レムリアシリーズ】魔法の恋は恋じゃない -24・終-(2023.07.26)
- 【魔法少女レムリアシリーズ】魔法の恋は恋じゃない -23-(2023.07.12)
- 【魔法少女レムリアシリーズ】魔法の恋は恋じゃない -22-(2023.06.28)
- 【魔法少女レムリアシリーズ】魔法の恋は恋じゃない -21-(2023.06.14)
- 【魔法少女レムリアシリーズ】魔法の恋は恋じゃない -20-(2023.05.31)
« アルゴ・ムーンライト・プロジェクト第2部-092- | トップページ | アルゴ・ムーンライト・プロジェクト第2部-094- »
コメント