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アルゴ・ムーンライト・プロジェクト第2部-100-

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 イヤホンにピン。
『そのレンジは無力化できないか?耐環境ウェアはペルチェ繊維だからそれはそれで誘電加熱される』
 ウェアの繊維には電気が流せる。
 比して金属製の器や食器を電子レンジに投入すると何が起こるか、ということ。
「それには電力源への干渉が必要と考える。幾ら船長譲りの能力でも難しい。でも大丈夫だ。床面に直接開口してそこから降りる」
 相原はそう応じた。喋りながらニヤついた辺り、喋る途中で思いついたようであった。
『了解。外組は暴風で倒木を起こして進路妨害した。混乱は惹起したが、いかんせんもう倒す木が無い』
 ドクターの報告を聞きながら、アリスタルコスがレーザの銃口を床面に向け、人間が優に出入りできるサイズの円を描いた。
 穴を開けようというのである。果たして床面は下層の天井までワカサギ釣りの氷のように切られたようで、少し陥没してずれる。
 スポンと落ちればマンガだが、内部構造のバランス上、そううまく行くものでもない。
 引っ掛かっていると思しきところにプラズマを当てる。するとまた少しずれ、今度はそのままズルズル引きずるように自重でずり下がり、
 ラングレヌスが飛び乗って、その衝撃で大穴が貫通した。
 ラングレヌスを乗せたまま、配管類を挟んだコンクリートのハンバーガーが落下して行く。
 建物を揺るがす衝撃と音響。少し遅れて再度警報ベルが鳴り響き、今度は照明が点いた。
 イヤホンにピン。研究所から警報が発せられた。
『恐らく本拠地に対して、戦闘の応援要請を含むものと見られます』
 めいめいピンだけ返す。承知したの意。
 警戒レベルが突入時と変わったと言うことだろう。程なく、自分たちの照準装置も警報を発した。
「状況、ガス。二酸化炭素」
「窒息しろやと」
 今までと逆に照明が点いたのは、兵士共残っていたら窒息前に逃げろと言うことだろう。
「ラング、下はどうだい?」
 相原は尋ねたが反応無し。
「ラングさん!」
 レムリアがギョッとして、尋ねて、返ってきた、彼の〝思い〟。
 思考停止するほどの驚愕。そしてようやく。
「魔女っ子さんよ……」
 呼ぶように。
 何事か、彼らは穴の縁にロープを下げて降下する。
 
(つづく)

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