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アルゴ・ムーンライト・プロジェクト第2部-102-

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「この研究所は誰の肝いりだって?」
 アリスタルコスが言い、周囲を見回して警戒。相原の考えをテレパシーで覗いて曰く、炭酸ガスの放出停止はセキュリティが別の段階に遷移したことの証左だろう。3階と2階が貫通したことで必要な濃度に達せず、異常と判断されたに相違ない。但し〝1フロアぶち抜かれる〟ことまで想定したセキュリティかどうかは判らぬ。
 レムリアは頷いた。男達の放つ気配が張り詰めている。その時、レムリアは自分の能力が今こそモノを言うときであるという示唆……啓示を得た。
 アリスの問いに対する答えはそこにあった。レムリアは部屋の奥を真っ直ぐ指さす。
 写真パネルがある。この研究所を背景に記念撮影。
 奥まっていて少し暗い。相原が例のLED照明弾を至近に撃ち込んだ。
 照らし出された狂気の面々。全てコーカソイド人種。
 一人、レムリアは知っている。なぜなら。
「ヘルムズ・J」
 おぞましさ故に、口にしたくなかった名前。写真の最前列中央、紅潮した顔色で写っている少々肥満の男。
 船からピン。
『今ので人物相関の答えが出た』
 それは、相原が船のコンピュータに命じて解析させていた人的つながり。
 ヘルムズ・J。合衆国上院議員。
 反共産・進化論反対・銃器協会の終身参与。
 白人至上主義。
 20世紀末、植民地支配の終末期、なおもって人種差別政策を掲げる傀儡政権国家で、アフリカ系住民(すなわち黒人)が蜂起、政権は国際世論の批判を受け、共和制への移行を表明した。この際、「少数の白人が生命の危機にさらされる政策には反対する」と合衆国議会で発言し、物議を醸した真正レイシスト。
 自称、最大の愛国者・真保守派。但し、極右ゆえに政府内部、軍関係者に人脈多し。
「こいつあれか、議会で一悶着あって、ローデシアに『我が国は貴殿の亡命を受け入れる』と誘われたあのヘルムズか」
 アリスタルコスが唾棄するように。ローデシアは過去に存在した同様な差別国家。
 
(つづく)

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