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アルゴ・ムーンライト・プロジェクト第2部-105-

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 発砲されないと判断したか、ゴリラのようなモノは、レムリア達二人との距離に対し、
 一気に跳躍を図った。
 肉塊が宙を飛んでくる。そこでレムリアは気付く。テレパシーが反応しないのだ。この化け物達から人の意志・思考を感じない。
 薬物?……否。
 異様な印象。相原危ない!
「この化け物め」
 彼は低く呟いた。
 サムライが宿った。レムリアは感じた。
 相原は銃把銃身をひっくり返して逆様に持ち、銃を棍棒よろしく殴りかかった。
 それはボールよろしく飛来する肉塊に対し、バットスイングの要領であり、その相対速度、及び、肉塊と銃器の双方の質量は、充分殺人に達する運動エネルギを持ちうると言えた。
 爆発に似た音であった。
 そして、信じがたい光景がそこにあった。
 殴られたそのモノの、首から上は、ほぼ直角に折れ曲がっていた。
 人形の首を横にひねり、更に奥方へ折り曲げて破損した有様に似ていた。右耳が背中に付くまで曲がっており、銃把は顔面側部、左耳朶の下部を陥没させ、めり込んでいた。頸椎も頭蓋骨も損傷を受けたことは明らかだった。
 だが、その化け物は、そこに人間然として立っていた。
 激しい出血の代わりに、得体の知れぬ緑の液体が耳孔から流出していた。
 殺害し損ねた、と相原が気付いたであろう次の瞬間、その生物は己れを殴打した銃把を手でのけた。
「逃げろ!」
 相原が叫びながら銃ごと弾き飛ばされる。彼の身体は部屋の床面を何度も転がり、背中と後頭部を壁面にしたたか打ち付け、そのままぐんにゃりとなってしまう。彼はその状態で自分に目を向け、何か言おうとし、動こうとするが、どうやら身体がいうことを聞かない。
 相原という盾がいなくなって。
 レムリアが見たのは、首の曲がったそのモノと、その向こうでそれぞれもみ合う双子。
 首の曲がったそれが、身体の向きを斜めに変え、目玉がぎょろりと自分に向いた。
 
(つづく)

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