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アルゴ・ムーンライト・プロジェクト第2部-112-

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 彼らを支配するのは業苦と恐怖。気絶したくても出来ない。
〈助けに来ました〉
 テレパシーを使う。形而上の事象と判じたようで、どよめきが波紋のように広がり、業苦に僅かな期待が宿る。
 足音がし、見ると、奥で立ち動く白衣の男があった。
 医療機器のコントロールパネルと思しき、しかし、それにしては大規模な機械を操作している。粒子線ガン治療器など、豪壮な仕立ての医療機器を幾つか知っているが、それらと同等の規模であり、そしてここにある以上、人体に不当な干渉を及ぼす機械であることは確かだ。ただ、バイオハザード系の装置ではないらしい。現に医師は特段防護服を着ているわけではなく、自分たちのウェアもアラームを発しない。以上、自分が思った“個々に隔離”の部分。
 ウェアのフードを取ってみる。医師の目が自分を捉える。
 その目。
「おや」
 医師は、あたかも職場に彼女がひょっこり現れたときのように、作業を続けながら応じた。
 一方で、遠く聞こえ来る跳弾や各種警報の音を意に介する風はない。
 冷静すぎる異常。
「久しぶりだね。君が来るのを待っていたよ」
 聞き覚えのある声音。
 そして。
「ここだ。来てくれ」
 何かに報告するように言い、ニヤッと笑った。
 意図が読み取れる。通常、テレパシーならその位事前に察知できるはずだが、今の瞬間は、相手が意図を明確にして初めて判った。
 その理由を考えるより先に、裏切られた絶望感と、そして、得体の知れぬ化け物にされた悲しみが、悲鳴を解き放つ。
 それは同時に、絶対的使命を彼女に抱かせた。医師、否、元医師にコンソールを触らせてはならない。
 伝わったのか、独自の判断か判らぬが、傷だらけの男の元から火の玉が走った。コンソールを撃ち、溶解に至らしめる。
 
(つづく)

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