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アルゴ・ムーンライト・プロジェクト第2部-113-

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 途端に元医師は昏倒した。プラズマに撃たれたというより、スイッチが切れたロボットのような反応であった。
 そして、本当にスイッチが切れたのだとレムリアは知った。このコントロールパネルこそ、人体に対する数々の耐えがたい冒涜行為の中枢。
 それが証拠にベッドの人々が次々動き出す。神経系に電気的に干渉し、身体が動かせないようにしていたのだ。
 一方、鉄扉の向こうでも変化が起きたと知れる。恐らくはゾンビ達の制御も解け、一様に単なる死体に戻ったに相違ない。イヤホンにピン。
『ありがとよ』
 一方、元医師の方は。
 相原が銃口を向け、二人は人形の如く転がっている元医師に近づく。勿論発砲ロックがかかるのは承知の上。脅しだ。しかし、銃の扱いにすっかり手慣れた彼の姿はどうだ。力強くもあり、申し訳なくもあり。
 家族のために戦うことこそ、男の覚醒と聞くが。
 対し、ニヤニヤ笑うばかりの元医師の顔。被験者と逆に首から下が動かせなくなったと見られる。それはあたかも、首から上だけ本物を据えた人形のようなグロテスク。
 何事か口を動かすが、言葉にならぬ。
「言いたかないが、このセンセイもゾンビかい?」
 相原に問われて思考が動き、事前察知できなかった理由を得る。
「いいえ……麻薬で本来の人格を消されてしまったようです。その後、人工知能をロボットに持たせる要領で別の人格を書き込んだのでしょう。要するに生体アンドロイド」
 言ってて悲しくなってくる。もうこの医師は元に戻らないことが明らかだからだ。
 この〝人格〟は電気により作られ、コントロールされる言わば幻影。無くなれば、廃人。
「判った。それ以上言うな。銃の電力が残り少ないんだが、まずこの人達は助けるんだな?」
「ええ」
 相原はそれを聞くと、火の玉を真上に向けて放った。
 
(つづく)

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