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アルゴ・ムーンライト・プロジェクト第2部-120-

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 ケースの中身は恐らく死の素。細菌ウィルスのサンプルだろう。このケースこそ、放逐すべき〝P4〟だ。
 真の悪がここにいる。教科書に書かれた過去の侵略・征服・虐殺の首謀者と同様、人類のため、地球のためを思えば、殺してしまうのが正しい対応なのではないかと真剣に思う。殺す権利は何人にもない、というのが人類のコンセンサスだが、そうだと信じるが、
 適用対象外を考えるのはいけないことか。
「こいつ所長だろ」
「ええ」
「動けなくしたのか?」
「ええ」
 相原の問いに頷く。
「殺人に躊躇があるならオレがやるぜ」
 相原はボロボロのプラズマ銃を刀の如く構えた。
「サムライの流儀で首を切り落としてやるぜレイシストさんよ」
 レムリアは思わず相原を見る。
 その驚きが……魔法のロックを解除した。
 ……しまった。
 所長が動き出したと判るや、相原はプラズマ銃で殴りかかった。
 殺人を犯す。
 それは、太古罪悪感のない時代、及び、その価値観を保持する文明圏の場合はともかく、近代文明法治国家の人間にとって、最大の罪であり禁忌。
 その最後の一線を越えさせるものは、狂気か確信犯のいずれか。
 所長が、ストップモーションの掛かっていた2発目を発砲した。
 鉛弾が相原の振り上げたプラズマ銃を直撃し、跳弾となり、ジュラルミンケースを貫通する。
 所長は何事か叫び、ジュラルミンケースに取りすがろうとする。
 レムリアはぐいと腕を引かれる。相原である。レムリアを投げ出すように馬の所へ。
 行けというのである。
 双子が自分たちを実験室へ放った。そして今度は相原が自分を放った。
 お前だけでも。
 レムリアは転びそうになりながら馬の前へ走る。彼女のその姿を見て馬は嘶き、口から泡吹くほど恐怖と拒否を見せ、前脚を振り上げる。
 
(つづく)

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