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アルゴ・ムーンライト・プロジェクト第2部-122-

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 赤一色の世界に鬣(たてがみ)をなびかせ、炎の壁を飛び越える。そして、閉まる途中で故障したと見られるシャッターをくぐると、
 屋外へ出た。
 地上へのスロープ道路。研究所への搬入路であろう。
 その道のそこここには、男どもの身体(ボディ)がゴロゴロしている。厚く武装した傭兵も見えるが、研究所の者らしい白衣もあり。
 馬は障害競技よろしく人体を避け、或いは飛び越え、迫り来る火炎と熱風から逃げ続ける。走り続ける。
 搬入路入り口に鉄の柵。
 馬が跳ぶ。少女の意に従い、蹄の音も高らかに地上へと躍り出る。蹄鉄がコンクリートで火花を放つ。
『どこだ!』
 ドクターシュレーターに相原が応答。
「研究所を左手に見ている。前方が夕焼けの方向。二人で馬に乗ってる」
『馬?ああ見えた。判った』
 地上の傭兵達が発砲してくる。曳光弾がオレンジに光る糸を放ち、衝撃波が身体を揺さぶる。
 船が姿を見せ、傍らに降下してくる。
 暴風は使えない。光子ドライブで超低空を並走し、スロープを伸ばす。先端まで大男達が出てくる。
 捕まえてやるから飛び乗れ、であろう。但し、馬が乗るには余裕が無い。
『飛べ』
「馬は?」
『馬も救うんだろうが』
 つまりうまいこと乗り移れと。
「了解」
 レムリアは笑顔を作ると、何ら躊躇無く、馬を跳躍させた。
 宙にある内に、着地と同時に停止するよう命じる。
 スロープに乗った瞬間、大男達が鎖を捉えて引き据える。
「馬体と二人を確保」
「乗員全員の無事を確認」
「離脱せよ!」
 双子が報告し、相原が叫んだ。
 はみ出たスロープに馬を乗せているため、光圧シールドが使用できず、高度も速度も高く取れない。但し、後ろからは見えないようにはすることはできる。
 船が海面から徐々に徐々に上昇し、自動車ほどの速度で島から離れて行く。
 現地時間17時22分。
 巨大な爆発を振り切る形で、船の如きものが光跡を曳いて空中へと駆け上がる。
 その状況は、幾らかの傭兵たちが目撃し、
 合衆国首都、或る議員の執務室にも、携帯電話で伝えられた。
 
(つづく)

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