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【魔法少女レムリアシリーズ】博士と助手(但し魔法使い)と-01-

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 レムリアがマジックショーを行う時、相原学(あいはらまなぶ)は、スーツ姿で会場の奥から見ていることが多い。たまにレムリアが円盤よろしく飛ばしたシルクハットを受けたり、彼女の合図でポケットからステッキを取り出したりしているが、積極的にショーに関わることはまずない。これは彼女が14の娘であるのに対して、23と少々歳が離れすぎているせいもある。折角“似た年齢同士”で敷居を低くしたイベントなのに「わざわざひねくれ終わった顔を突っ込むこともないだろう」というのが相原の意見であり、レムリアも納得するところである。
 だが、その週末は良く行く、“子ども病院・病棟”ではなく、種々の理由で親御さんと暮らせない子どもたちの保護施設が会場。病院だと“びっくりさせる・ホコリを立てる”の点で多少制限があったりするが、こちらその点では配慮が不要なため、どうせなら、と少し趣向を変えてみた。二人とも白衣に身を包んで“博士と助手”という設定である。相原は勤務先の社員証、レムリアは“欧州自由意志医療派遣団”の看護師IDをそれぞれ首からホルダーでぶら下げ、更に相原は洗髪後乾かさずにそのまま就寝して派手に寝グセを作り、メガネのレンズを指紋でベタベタにして、博士は博士でも“ちょっと逝っちゃってる”…児童文学で良くある“近所の発明博士”を模したスタイル。
「お似合いで秋葉原博士」
「やかまし」
 “秋葉原博士”というのは、相原が電子部品を探しに行く東京秋葉原からのインスパイア。レムリアの感性による完全な“見た目のぽっと出”だが、手塚治虫の“お茶の水博士”とイメージが近い上、お茶の水と秋葉原は隣同士の駅ということもあり、それで行くことにした。
 出し物の内容的には、博士の様々な“発明”で助手がいろいろマジックを披露しようとするが、悉く失敗してヘンな結果になり、大笑いさせる、という趣向。どちらかというと漫才かコントのノリである。
「これはテレポーテーション・ボックス。私がこの箱に入れた物が、皆さんの後ろ、博士が持ってるボックスから出てくるという仕組みです。ではこのハトをテレポーテーションしてみましょう……って入れる前から何で出てくるそっちの箱!こら博士!」
 手にハトの相原を指差し、床をドンドン蹴りつけるレムリアはしかし、横文字の呼び名に比して黒く煌めく瞳を持った、ショートカットで“ころん”とした顔立ちの娘である。華やかで明るくて、少女マンガのヒロイン向きと言えよう。髪型もあって、さっぱりした印象を見る者に与える。
 
(つづく)

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