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【魔法少女レムリアシリーズ】博士と助手(但し魔法使い)と-04-

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 レムリアが車外へ出る。衛星電波を拾うには屋根のない方が好都合だからである。
 他方、相原は相原で携帯電話を手にする。こちらはカメラ付きテレビ付きの多機能機種。だが、普通に店で買える携帯電話である。
「あ、所長さんでいらっしゃいますか?お宅のそのちゃんが今私のクルマまで来てくれてまして。……ええ。それで相談なんですがしばらく彼女誘拐してもよろしいですか?」
 ワッハッハと笑う声が電話の小さなスピーカーから溢れ出た。
「……では8時くらいまでなら。……ええ、はい。ちゃんとお届け致します」
「手配しましたよ、博士」
 レムリアがドアを開けて言った。
 そのちゃんは二人を交互に見る。その目は見開かれ、キラキラと光っており、しかし言葉はない。
 彼女にとって予想外の展開になっている証。
 しかしそれは当然、白衣の二人の狙い。
 相原は、レムリアの衛星携帯の番号を所長氏に教えている。
「……何かございましたら、その0061からの方にかけて頂ければ、世界のドコでも繋がりますので……え?いえ衛星モノですので冗談抜きに宇宙にいても繋がりますはい。では」
 相原は折り畳みの電話をパチンと閉じた。
「誘拐の許可が出た」
 エンジンを始動し、相原はクルマを出す。
 そこから相原の自宅まで30分、なのであるが、相原は自宅前をそのまま通り過ぎ、坂を登って住宅街裏手の丘へ向かった。丘の上には公園があり、しかし境目無く草地が広がっており、バッタの類が多く住み、子ども達には格好の遊び場。最も、すっかり日暮れて足元も不明瞭なこの時間、遊ぶ子の姿はない。
 相原は丘の前で途切れている街路端に路上駐車した。以降徒歩で丘を登って行く。
 とはいえ、丘の上は記したように一面草むらであって、“研究所”など建ってはいない。
「あの…」
 心配になったか、そのちゃんが立ち止まったところで、相原はレムリアに言った。
「レムリア君。PSC。カムフラージュ部分解除。昇降ゲート開口」
「判りました」
 レムリアはウェストポーチから耳栓に似た小さな物体を取り出すと、耳に収めた。
 程なく草むらの一角、空中に、“巨大な樽の側面”と形容しようか、緩やかに湾曲した茶褐色の壁面が出現した。
「え……」
「これが私の研究所、アルゴ研究所だ」
 
(つづく)

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