【魔法少女レムリアシリーズ】博士と助手(但し魔法使い)と-06-
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小さなスクリーンを備えた彼女の指定席。
相原がコンソール上のボタン・スイッチをカチャカチャ触ると、全コンソールの表示ランプが一斉に点灯し、レムリアのいる位置を始め、幾つかの小型スクリーンにも電源が入って何やら表示する。正面スクリーンにはこの丘の草むらが映る。
「レムリア君、宇宙ルーチン、いんすタイプワン、グラビティコントロールフルオート」
「了解」
相原の声に応じ、レムリアがいろいろと操作する。
「お母さんを捜す、んだよね」
相原はそのちゃんを向いて言い、コンソール上の横向きレバーと、ゲームでおなじみ“ジョイスティック”を握った。
「あ、はい」
背後で観音開きの扉がズシッと閉まる。
「準備するからちょっと待ってね。補助機関始動確認。フォトンハイドロクローラ始動。エアリフト」
相原がスティックを手前に引き、ぐらりと揺れる感覚。
「地震?」
そのちゃんが腰を浮かすが、
「違う、突風だ。ほら見てごらん」
相原が指差すスクリーン。草むらがびょうびょうたる風に吹き倒されている。
「いんすレディ完了」
レムリアが言った。
「了解。光圧」
相原が答えて左手のスティックは引いたまま、右手で横向きのレバーを握り、前に倒した。
大画面の映像が、ドラマのシーンチェンジのようにスッと切り替わる。
ジェットコースターの落下前に似た、ふわっと浮き上がるような感覚一瞬。
「……え」
「グラビティは制御下です。0.997G」
レムリアは報告した。
「了解。主機関停止」
相原は言い、横向きレバーを中立に戻す。
「了解。停止確認」
相原の声にレムリアがコンソールを見て答え、小さく笑み。
「博士お見事。現在地球とニュートン均衡。高度3万」
「了解、画面をナマに。ふふ、1年少々でなまる腕じゃないよ」
相原が言い、レムリアがボタンを押すと、大スクリーンには地球が映った。
(つづく)
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