【魔法少女レムリアシリーズ】博士と助手(但し魔法使い)と-12-最終回
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「ううん」
少女が振り返り、首を横に振った時、レムリアは手品の手法で取り出した特大ハリセンを、相原の後頭部に打ち込むところであった。
スパーン!
「あうち!」
相原のメガネが飛ぶ。
少女は足元に転がったそれを拾いながら微笑み。
「そんなことないです。やれば出来る!って思いました。元気が出ました。頑張って発明します。ありがとうございました。博士、助手さん」
頭を下げる。
その姿に、当然とばかり軽く笑って頷き、メガネを戻す相原。
対し、レムリアは少し感心したような表情を見せ、再度振り上げたハリセンを中途半端に下げた。
「それじゃ」
少女は二人に手を振って背を向け、施設へ向かって走り出す。
その途中で、気付いたように立ち止まる。
「……あれ?確か研究所って草むらに」
と、少女の言葉をかき消すように風が吹く。背後で風がわき起こり、少女の後ろから吹き付ける。
少女は風に飛ばされぬよう、写真を胸元に引き寄せて抱きしめる。施設駐車場のライトが自分の影を作り、その影を横切るように何か浮上して行く。
船の形をした影。
少女は影の方向を振り返り、風を受けて髪を流す。影を作ったそれは視界上方、空中にある。
宙に浮かぶ確かに帆船。浮上して行こうとする船。
その甲板に、自分を見降ろす白衣が2人。
少女は向かい風の中まばたきもせず、浮かび行く船を、白衣の二人を見つめ続ける。
すると突如、その船は素晴らしい速度へ星空へ向かって駆け上がり、流星のような輝線を描き、西方へ消えた。
少し遅れて。
残った風の中、ひらひらと舞い降りてくる紙が一枚。自分が手にする写真と同じく、何か印刷されている。
手にするとそれは、鮮やかな青と白が彩なす水玉。
を背景にレムリアとスナップショット。
似たような写真は……新聞にあった。日本人宇宙飛行士のスペースシャトルでの活躍。
「所長!ただいま所長!あのね!すごいんです!」
少女は、にわかに走り出す。
博士と助手(但し魔法使い)と/終
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