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アルゴ・ムーンライト・プロジェクト第3部-013-

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 それは副長セレネが装着したのと同じものである。頭部のバンド部分は多数の脳波センサ電極。オーディオケーブルの代わりにセンサー信号を送るフラットケーブル(何本ものケーブルを並べて板状にしたもの)。
 このヘッドセットを介し、脳と船のコンピュータを電気的に連結して様々なコントロールが可能になっている。PSC(Psychology-direct-reflection Synchronization Control-unit:心理同期制御)と呼ぶ。
 セレネの場合は超感覚、いわゆるテレパシーで要救護者の心の悲鳴を捉える。それをヘッドホンを介して船に送り、船がそこへ急行する。
「ああ。あった」
 相原は言うと、コンソール下部のラックに手を入れ、PSCのヘッドセットを取り出して頭にかぶり、ケーブルをコンソールのジャックに差し込んだ。
「来た。なるほど」
 相原の認識がテレパシーでレムリアに流れ込む。
 彼は雰囲気を感じるつもりで心を研ぎ澄ました。
 電波を、意識で感じる。
 妨害波の放射点を探しに掛かる。
 電波強度の強い方へ強い方へと意識を走らせる。ヘッドセットが作動し、船に連動制御が掛かり、ぐいぐいと東に回頭して行く。
「そっちで動かして……」
 ドクターがこちらを見て言う。
「……ます」
 相原の代わりにレムリアが答える。彼が自分に頭の中を見せたのは、感知と操作に集中したいので、状況の報告・代弁を頼むため、と判る。
「見つけたようです」
 位置は事前の予報位置から東へ130キロ。そこに電波発信源が二つある。偏西風に流されたか、巡航ミサイルの誘導コンピュータが制御した結果か。
「見つけた」
 相原はひとこと言った。レーダ画面から妨害による虚像エコーが消去され、本物を示す輝点二つのみ表示される。更に、ヘッドセットだと速度が巡航速度に固定されるため(間違った考えが船の運動に反映された場合、高速過ぎて修復不可能になるのを防ぐ)であろう、相原はセットを外して舵をドクターの手に戻した。
「操舵権を舵手へ委譲する。本船を輝点へ」
「了解」
 船が一瞬加速し、すぐに巡航ミサイルに追いつく。
 並んで飛行中の2機を船外カメラが捉えた。
 巡航ミサイル。その外見は湾岸戦争で飛び交い、その後も中東の空爆騒ぎで見られたものと同一である。白いナメクジのような、細長くのっぺりしたボディ。ガガンボの翅のような、ひょろっとした左右の翼。後尾のエンジンから火を噴きながら、海面すれすれを滑っている。GPSで己れの位置を確認しながら標的へ向かう。
 
(つづく)

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