アルゴ・ムーンライト・プロジェクト第3部-026-
←前へ・次へ→
「了解!」
「甲板、貴殿らの身体に光で加圧し加速度を上げる。極力動くな」
意味、船が加減速の際に生じる力、慣性力(いわゆるG)を、人体への光圧印加で相殺する。その分船を多少荒っぽく動かす。
各人は声で応じ、嵐の中でのミサイル追撃が始まった。
一発目は豪雨の中で出くわした。
「点火回路を持っています。実弾です」
相原が言い、応じてレムリアはレーダのメニューを操作し、電波レーダを起動した。
ミサイルが反応した。
「ロックオンされました」
画面に警告が出、船尾カメラが追尾してくる姿を捉える。
『漸次減速して引きつけろ。10メートル』
アルフォンススは言った。徐々に近づくミサイルに船の識別装置が対応、型式をASM2002と表示する。
「こいつか」
相原がミサイルの存在目的を説明する。その鉛筆みたいな尖った頭の中には、要塞や前線基地を一つ単位で蒸発させる水爆が入っているという。後から飛んでくる殺人飛行機が敵の妨害を受けないよう、進路上の基地をあらかじめ跡形も無く破壊しておくためである。
「人間の科学技術の使いこなしってヤツだよ。ちなみに、水爆の起爆剤は原爆な。原爆の高熱で水素を核反応させるんだ」
相原が皮肉を言い、次いで彼は船長と揃って「あっ」と声を上げた。
それは二人の魔法の力が反応したことを意味した。
つまり、水爆の起爆剤である原爆が点火準備。
「船長!」
『承知している。こいつらの点火距離は50メートルに設定されている。アリス!』
アルフォンススはアリスタルコスを呼んだ。点火距離、つまり50メートルまで近づくと爆発する。従い、周囲の核汚染防止を第一と置くなら、船体で押す手法は使えず、銃で撃つしかない。
『標的が小さい。パワーを落としてプラズマを撃て。徹底的に前頭部を狙い、アビオニクスを蒸発させろ』
『了解』
(つづく)
| 固定リンク
「小説」カテゴリの記事
- 【理絵子の夜話】城下 -10-(2023.12.09)
- 【理絵子の夜話】城下 -09-(2023.11.25)
- 【理絵子の夜話】城下 -08-(2023.11.11)
- 【理絵子の夜話】城下 -07-(2023.10.28)
- 【理絵子の夜話】城下 -06-(2023.10.14)
「小説・魔法少女レムリアシリーズ」カテゴリの記事
- 【魔法少女レムリアシリーズ】魔法の恋は恋じゃない -24・終-(2023.07.26)
- 【魔法少女レムリアシリーズ】魔法の恋は恋じゃない -23-(2023.07.12)
- 【魔法少女レムリアシリーズ】魔法の恋は恋じゃない -22-(2023.06.28)
- 【魔法少女レムリアシリーズ】魔法の恋は恋じゃない -21-(2023.06.14)
- 【魔法少女レムリアシリーズ】魔法の恋は恋じゃない -20-(2023.05.31)
コメント