アルゴ・ムーンライト・プロジェクト第3部-027-
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アリスタルコスから答えが来る。確かに鉛筆みたいなミサイルを細い光線で狙うのは困難である。広がりを持つ火の玉の方がいい。
白熱の塊が放出された。
しかしそこでミサイルの方がゆらりと動く。火の玉はミサイルを逸れて通り過ぎ、豪雨の向こうに失われる。
『外した!(missed!)』
「点火するぞ」
相原の声にレムリアは震えた。
『構うな次々撃て。私が抑える』
アルフォンススが言う。
「船長援護します」
相原が言い、ヘッドホンをかぶる。
船のコンピュータ曰く、船は帆を媒体に電気力を波紋のように放っている。無論二人が魔法の力を船の回路に重畳したのである。
電気力の波紋は次第に振幅を強める。しかし点火回路への干渉は難しいようだ。核物質は常時なにがしか核反応をしており、その際電磁波パルスを放出する。
(福島第一原発で放射線の影響でノイズが入ったカメラ画像。え?著作権?てめえらにそんなもの主張する権利あるか国賊企業が)
それにより誤動作・起爆しては元も子もないであろう。そのため、分厚い電磁シールド(恐らく鉛のブロック)に守られている。ちなみに、アルフォンススが対策提案時に魔法の力に触れなかったのもそのため。
一方、アリスタルコスも火の玉を撃ち続けるが命中しない。
「当たらん」
『当てろ』
船長の切り返しにレムリアが無茶と感じたその時。
「当てようぜ」
相原が言ってアリスタルコスのスコープ映像がレーダ席モニタに呼び出された。
「こっちでいじる。そのまま銃を保持」
相原は言った。
レムリアは気が付いた。魔法の力はミサイルには効かなくても銃には作用する。
相原は魔法の力でプラズマガンの標的システムに割り込み、ミサイルの中、最も電波を強く出している部分に勝手に合わせ込んだ。
ロックオン表示。
「撃て」
相原が言い、アリスタルコスが反応。
火の玉が三発走り、白熱の塊がミサイル先頭部に食いつき、否、食いちぎって持ち去る。
(つづく)
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