アルゴ・ムーンライト・プロジェクト第3部-030-
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ただ、そのような場合でも、船を第3者の目に晒すことは基本禁則。どうにかして存在を隠しておくのはもちろん、意図して開示しないのが常であるが。
『下らん秘密主義で事態の悪化は本末転倒』
「判りました。対応します」
セレネは慌てたように答え、パソコンをカチャカチャ。
その間に船はハリケーンを再々横断し、南米大陸に近い空域。
レーダが警告を発し、敵味方識別作業。
「航空機5機」
レムリアは報告した。
『了解。無用な混乱、戦闘を避けるため、光学シールドオンの上、編隊上空高度1万メートルで待機。副長、その後は?』
アルフォンススが経過を訊いた。
「ダメです。世界中の通信回線が混乱を来している模様です。政府間のホットラインもトラフィック(通信密度)が一杯で割り込むことが出来ません」
セレネは険しい表情で言った。レムリアは反射的に自らの衛星携帯電話の液晶画面を見た。こちらも回線捕獲状態を示すアイコン表示がレベルゼロ。
「世界中パニックだからな。船長、待つよりは、と自分思いますが」
相原が言った。回答無くとも動こうというわけである。
『判った。仕方ない。我々だけで対処する』
アルフォンススが重く言った。
『攻撃してきたら仕方がない。我々は我々のなすべき事をする。シュレーター、編隊に最も近いミサイルへ行け』
「了解」
ドクターは答えた。
船が狩りのハヤブサよろしく垂直降下しながらミサイルを追いかける。先ほどはミサイルを船に引き付けたが、今度は飛行編隊に引き付けられているミサイルを船で追う。
一発の斜め上方につけた。
『シールドオフ。そのまま船首を標的に向けておけ…』
アルフォンススが言った。船が船首を斜め下に向け、傾いた状態でピタリとミサイルを追尾。
(つづく)
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