アルゴ・ムーンライト・プロジェクト第3部-033-
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相原と船長は手分けし、時に相互に手伝い、核ミサイル群に片っ端から、しかし丁寧にシャハーブミサイルを命中させて行った。
船を中心に寄り集まった編隊の周囲で、火柱がボカボカ上がる。
核ミサイル最後の一発は燃料を使い果たし、自ら落下した。
「掃討完了」
相原は、言った。
『掃討完了確認。残弾は自爆処理』
「了解」
残ったシャハーブミサイルは編隊が自ら処理……自爆した。船が何をしていたのか理解したようだ。
レムリアのレーダ画面に輝点明滅。モールスで返されたのだと判って船に訳させる。
「編隊からモールスです。“貴船はいずこの軍なりや”」
アルフォンススはそこでふっと笑った。
『ボランティアとでも答えておけ。行くぞ、後どれだけある』
「はい。その後巡航ミサイルは全て自爆処理あるいは撃墜に成功しました。残っているのは宇宙空間を惰力飛行中のICBM群です。高度150キロ。これらを全て無力化すれば全ミサイルを処理したことになります」
セレネが言った。
『大気圏外か……よし行け。アリス、ラング、一旦戻るぞ。船外活動準備』
アルフォンススは言い、船はその舳先を天空へ向けた。
相原が傍らで息を呑む様をレムリアは見て取り、自らもその意味することに気付いてハッとした。
宇宙へ出る。
4
船が大気圏外へ出るのに、まばたきするほどの時間も掛からなかった。
正面スクリーンが真っ暗になり、レーダ表示が“宇宙モード”に切り替わり、ようやくそうだと判じた。初めて見るその画像は船が中心に配され、囲む空間全体をグラフィック処理した3次元タイプ。カーナビゲーションでは自車が地図中心に置かれるが、それの宇宙空間版と言って良い。方位の基準の代わりに太陽の位置が示される。
(つづく)
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