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アルゴ・ムーンライト・プロジェクト第3部-038-

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 弾頭がくるくる回転を始める。明らかに失敗である。
「これは一時間で大気圏に再突入します。落下地点は東南アジア」
 セレネが報告。
「追尾せよ。とどめを刺す」
 船長席で腕組みしてアルフォンススが指示。
「了解」
 船は姿勢を変え、船尾を弾頭に向けた形で、すなわちバックするようにミサイルに接近する。
「機関光圧で吹き飛ばせ。加速10G」
 指示通りドクターが操作する。エンジンが白い光を発し、死のカプセルを加速して宇宙へ放つ。
 セレネが軌道を計算。
「地球には戻りません」
「よろしい。次だ」
 船が軌道を変える。
 以降同じことを繰り返す。馴れてくるに従い効率が上がり、短時間で処理できるようになる。一気に何とかしたい気持ちを抑えながら、地道に一つずつ潰して行く。焦って失敗したら元も子もない。
「本部から連絡です」
 セレネの声に操舵室が緊張する。本部……アルゴプロジェクトの本部であり、欧州の小国コルキスに在する。
「私たちの存在がマスコミに知れました。“謎の飛行物体マイアミ沖に出現。誤射された米軍新型兵器か”」
「なにそれ!」
 レムリアは怒った。
「こっちが兵器!?……冗談じゃない!私たち苦労してミサイル落としてるのに。ひょっとして私たちの方が狙われるってことですか?」
 思わず怒鳴る。殺人破壊機械と同一視されるほど心外で屈辱なことは無い。殆ど反射的な情動。
 対して傍らで相原が自分の剣幕に驚き、他のクルーも少なからず意外、と感じていることが判る。確かに、自分がこの船で怒りを露わにしたことは無かったと思う。
「コルキスの方から国連安保理を通じて国家間の働きかけはしているはずです。しかし私たちは今まで極秘の存在でしたからね。にわかに周知は……。私たちには事が完了次第帰還せよと言っています」(安保理:安全保障理事会の略)
 
(つづく)

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